セッション情報 | ワークショップ「胆膵疾患診療のup to date」 |
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タイトル | WS-02:胆膵疾患に対するOptical Coherence Tomography |
演者 | 鈴木 雅貴(宮城県立がんセンター 消化器) |
共同演者 | 野口 哲也(宮城県立がんセンター 消化器), 虻江 誠(宮城県立がんセンター 消化器), 塚本 啓祐(宮城県立がんセンター 消化器), 鈴木 眞一(宮城県立がんセンター 消化器), 内海 潔(宮城県立がんセンター 消化器), 及川 智之(宮城県立がんセンター 消化器), 相澤 宏樹(宮城県立がんセンター 消化器), 内藤 健夫(宮城県立がんセンター 消化器), 小野寺 博義(宮城県立がんセンター 消化器) |
抄録 | 1990年の丹野の理論に基づき、低干渉近赤外線光を光源としその低コヒーレンス干渉現象を利用して微細な断層像を得るOptical coherence tomography(OCT)が開発された。OCTの最大の特徴は、音波ではなく光波を用いることによるその高い空間分解能である。OCTの分解能は数μm~20μmであるが、これは100~150μmである管腔内超音波検査法(IDUS)の約10倍であり300MHzの高周波数に相当する。そのため得られる画像は低倍率の光学顕微鏡像(ルーペ像)に匹敵し、実際には組織採取をせずに画像による組織診断を行うoptical biopsy(光生検)として期待される。すでに眼科、循環器領域では実用化され、眼科では、生体内で最も組織が得られにくいと言われる網膜の断面が、光学顕微鏡で見るかのように画像化され眼底の「生体組織学」というべき新分野が開拓された。消化器領域でも内視鏡の鉗子孔から挿入できるOCTプローブが開発され2001年には初めてERCP下にin vivoでの胆管及び膵管の観察が行われた。我々は2008年8月からFUJIFILM社との共同研究による次世代EOCT systemの使用機会を得て検討を加えてきた。本機種では新しいレーザー方式を採用して異なる組織の境界面からの反射を軽減し、従来機種よりも分解能を向上させ、さらに3D機能を搭載した。このため10μm単位での観察が可能となり、一層の円柱上皮の同定が可能となった。上皮はさらに細胞核と細胞質とに分離して描出され、円柱上皮と立方上皮の鑑別も可能であった。その結果、胆道癌では、基底部に核が位置している正常の胆管上皮と、極性の乱れ、重層化を呈している癌の粘膜表層進展の鑑別が可能となった。さらに炎症性線維性肥厚と癌の壁内進展の鑑別も可能であった。膵に関しては、IPMNでは正常膵管上皮と、IPMA(軽度異型)、IPMA(borderline)及びIPMCの鑑別が可能であった。今後は腫瘍の進展度診断のみならず、PanIN病変を含めごく早期の膵胆道癌の発見にも貢献できる可能性が示唆された。一度は商品化が決定されたものの現在は一時休止状態であるが、今後の再開発、普及に向けて検討を重ねていきたい。 |
索引用語 | OCT, 膵胆道癌 |