セッション情報 一般演題

タイトル O-61:

急速な増大傾向を示した肝類上皮血管内皮腫の一例

演者 岡井 研(福島県立医科大学 消化器・リウマチ膠原病内科)
共同演者 勝嶋 史子(福島県立医科大学 消化器・リウマチ膠原病内科), 菅野 有紀子(福島県立医科大学 消化器・リウマチ膠原病内科), 阿部 和道(福島県立医科大学 消化器・リウマチ膠原病内科), 高橋 敦史(福島県立医科大学 消化器・リウマチ膠原病内科), 大平 弘正(福島県立医科大学 消化器・リウマチ膠原病内科)
抄録 【症例】72歳 女性【主訴】発熱、腹痛【既往歴】特記事項なし【生活歴】アルコール歴なし、輸血歴なし【現病歴】2010年に検診で肝腫瘍を指摘され、肝血管腫と診断され経過観察されていた。2011年8月4日頃から誘因なく発熱、腹痛が出現したため近医で受診し、腹部CTにて肝にびまん性に多発する腫瘤を指摘された。同月31日にA病院に紹介され精査施行されたが確定診断に至らず、精査加療目的に11月7日に当科紹介となり同月15日当科へ転院した。【経過】初診時の血液検査ではT-bil 2.5mg/dl、AST 41IU/l、ALT 24IU/l、ALP 837IU/l、γGTP 85IU/lと胆道系酵素の上昇が見られるのみで、腫瘍マーカーは陰性であった。入院時に施行した腹部造影CTでは肝右葉全体および左葉にびまん性に造影効果に乏しい腫瘍を認めた。前医にて2010年8月、2011年9月に撮影されたCT所見と比べ腫瘍の著しい増大傾向を認め、当初肝辺縁に数個見られた乏血性腫瘍が短期間にびまん性に増大したものと考えられた。確定診断目的に肝生検を行った。病理所見は上皮様配列を示す大型の異型細胞が門脈や類洞を置換性に増殖しており、また免疫染色でVimentin(+)、CD31(+)、CD34(+)と間葉系、特に血管内皮マーカーが陽性を示した。これらより肝類上皮血管内皮腫と診断した。【結語】急速な増大傾向を示した肝類上皮血管内皮腫の一例を経験した。画像所見は経過として本疾患に特徴的な進展様式を示したが、画像のみによる早期診断は困難であり、免疫染色を含めた病理組織学的診断により確定診断が得られた。肝類上皮血管内皮腫の発育は一般に緩徐とされているが、本例のように急速に増大する症例もあり、本疾患を否定し得ない場合には慎重なfollow upと積極的な肝生検が望ましいと思われた。
索引用語 類上皮血管内皮腫, 非上皮性腫瘍