セッション情報 一般演題

タイトル O-104:

術後8年で発症した乳癌の回腸、大腸転移の一例

演者 横山 直信(岩手県立中央病 消化器科)
共同演者 小原 範之(岩手県立中央病 消化器科), 大方 英樹(岩手県立中央病 消化器科), 高橋 健一(岩手県立中央病 消化器科), 松本 信(岩手県立中央病院 内視鏡科), 高橋 太郎(岩手県立中央病 消化器科), 三浦 真奈美(岩手県立中央病院 内視鏡科), 天野 良彦(岩手県立中央病院 内視鏡科), 金澤 義丈(岩手県立中央病 消化器科), 城戸 治(岩手県立中央病 消化器科), 村上 晶彦(岩手県立中央病院 内視鏡科), 池端 敦(岩手県立中央病 消化器科), 小野 貞英(岩手県立中央病院 病理科)
抄録 【症例】63歳 女性【主訴】便秘、右下腹部痛【既往歴】平成15年1月 左乳癌 乳房温存手術、平成22年4月 子宮筋腫 子宮付属器全摘術【家族歴】特記事項なし【経過】平成22年4月の子宮筋腫術後より便秘傾向であると感じていた。右下腹部に軽い痛みを感じたため平成23年11月当科初診。初診時腹部触診にて右下腹部に5cm大の弾性硬の腫瘤を触れた。圧痛は認めなかった。CTにて回腸末端から上行結腸にかけて強い造影効果を伴った、比較的均一な腸管の壁肥厚を認められた。大腸内視鏡を行ったが、骨盤内癒着と腸の進展のため肝弯曲部までしか挿入できず、上行結腸病変は観察できなかった。注腸造影では上行結腸の壁硬化、狭窄所見が認められた。PET検査では軽度のFDG集積を認めるも、有意な所見ではなかった。狭窄を伴っていたため、診断的治療として手術を検討したが、イレウスを発症しておらず、画像上も明らかな悪性所見ではないと考えられ経過観察の方針となった。その後3ヶ月ごとにCTにて経過を追ったが、画像上は有意な変化は認めなかった。しかし、右下腹部痛がいくらか続いているということで、平成24年10月ダブルバルーン内視鏡にて大腸検査を試みたところ盲腸まで観察可能であった。上行結腸壁は全周性にやや浮腫状で壁硬化を認めたが、表面は平滑でびらんや潰瘍所見は認めなかった。壁硬化のため、回腸末端は観察できなかった。生検組織のHE染色では印環細胞を伴った低分化腺癌と診断されたが、免疫染色にてCK7(+)、CK20(-)、CSX2(-)、GCDFP-15(+)、ER(+)、PgR(-)であり、腸管原発ではなく乳癌の転移と診断された。現在は乳腺外科にてホルモン療法による治療が開始されている。【まとめ】乳癌術後8年目に回腸~大腸転移を発症した一例を経験した。当初内視鏡で観察できなかったため、CTなどの画像所見では明らかな悪性所見ではないと考えおよそ1年間経過観察されたが、ほとんど変化が認められなかった。乳癌の一部の組織型では腸管転移を来たすことがあるとされている。若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 大腸転移, 乳癌