セッション情報 特別企画 初期研修医(卒後2年迄)

タイトル W-01:

4型進行胃癌との鑑別が必要であった乳癌転移の2例

演者 清水 貴文(東北労災病院)
共同演者 大原 秀一(東北労災病院), 丹田 滋(東北労災病院), 濱田 史郎(東北労災病院), 前川 浩樹(東北労災病院), 小島 康弘(東北労災病院), 北川 靖(東北労災病院), 齋藤 晃弘(東北労災病院), 半田 朋子(東北労災病院), 仲程 純(東北労災病院), 玉渕 泰文(東北労災病院), 楠瀬 寛晃(東北労災病院), 高橋 麗子(東北労災病院)
抄録 【はじめに】転移性胃癌は比較的稀であるが、典型例は粘膜下腫瘍類似の形態を示す場合が多い。一方、乳癌には4型進行胃癌(type4)類似の転移形態を示す例がある。今回type4との鑑別が必要であった乳癌の胃転移2例を経験したので報告する。【症例1】52歳女性。9年前に乳癌の手術。以降再発無く経過していたが、平成23年腫瘍マーカーが上昇。CTにて胃壁の肥厚を指摘。上部内視鏡検査(EGD)で胃壁全体の硬化、伸展不良、びらん形成を認めた。type4が疑われたが、既往歴より乳癌胃転移との鑑別が必要であった。びらん部からの生検で低分化型腺癌類似の異型細胞が見られ、繊細なクロマチン増量、細索状の配列、E-cadherin陰性かつ34βE12陽性であったことから、乳癌(浸潤性小葉癌)の胃転移と診断された。【症例2】55歳女性。食欲不振、腹満感を主訴に近医受診。EGDにより胃壁全体の伸展不良を指摘され、癌性腹膜炎を伴う進行胃癌として当院紹介となった。当院でのEGDでは胃体部大弯のヒダ腫大、伸展不良を認め、type4が疑われた。しかしCTにて左乳腺に乳癌を疑う異常陰影を認めたため、胃病変は乳癌からの転移の可能性もあると考えられた。病理組織学的には乳腺からの生検で浸潤性小葉癌の診断となり、胃病変のびらん部からの生検でも最終的には乳腺浸潤性小葉癌の転移と診断された。【考察】最近の報告では乳癌転移の38%がtype4類似の形態であったとも報告されており、他の転移性胃癌と比較してもtype4類似の形態を呈する頻度は高いと考えられる。今回報告した2例もEGD所見上典型的なtype4と考えられる形態を呈していたが、既往歴や他の検査情報から乳癌胃転移の可能性も考えられた例であった。【結語】女性でtype4を疑う異常を認めた場合には、乳癌胃転移も鑑別として常に念頭に置くことが必要である。
索引用語 乳癌, 胃転移