セッション情報 一般演題

タイトル O-01:

好酸球性胃腸炎の一例

演者 田中 淑恵(石巻赤十字病院 消化器内科)
共同演者 加藤 浩貴(石巻赤十字病院 消化器内科), 高橋 徹(石巻赤十字病院 消化器内科), 赤羽 武弘(石巻赤十字病院 消化器内科), 富永 現(石巻赤十字病院 消化器内科), 島田 憲宏(石巻赤十字病院 消化器内科), 松浦 真樹(石巻赤十字病院 消化器内科), 高橋 徹(同 病理), 尾崎 泰(同 内科)
抄録 好酸球性胃腸炎の一例【症例】26歳女性, 主訴:心窩部痛, 下痢, 嘔吐【現病歴】X年6月中旬に心窩部痛, 嘔吐あり前医受診. 上部消化管内視鏡にて急性胃炎の診断で抗潰瘍薬処方されるも症状増悪し, 再検査の腹部超音波検査にて腹水貯留指摘され, 当院紹介受診. 下痢は1日20行程度で水様便. 腹部は重苦感あるも平坦軟で明らかな腹膜刺激症状は認めない. 腹部造影CTでは小腸の全体的な浮腫状変化及び腹水貯留を認めた. 血液検査:白血球12,400/μl(好酸球 27.5%), CRP0.0mg/dl.【経過】血液検査で著明な好酸球増多を認めた為画像所見と合わせて好酸球性胃腸炎が疑われた. 上部内視鏡検査では胃粘膜全体に発赤調の粘膜変化と十二指腸粘膜の浮腫状変化を認めた. 腹水穿刺では褐色調で混濁を呈する滲出性腹水が吸引され、細胞数2000/μl(好酸球78%)と好酸球性の腹水であった. 十二指腸粘膜生検にて粘膜の好酸球浸潤を認めた. 小腸内視鏡にて深部空腸まで観察した所, 全体に浮腫状変化を認め, 小腸生検でも粘膜の所々に好酸球浸潤の目立つ箇所が認められた. 蟯虫検査は陰性であった. 上記所見及び明らかな好酸球増多の原因となる消化管外病変が認められなかったことから好酸球性胃腸炎と診断し, 第5病日からプレドニゾロン30mg/日の内服で治療開始した. 投与開始後, 腹部所見, 水様便は著明に軽快した. 第14病日には白血球5800/μl(好酸球2.2%)と好酸球数の著明な改善が認められた. その後プレドニゾロン20mg/日まで減量したが再燃なく良好に経過, 第24病日退院となった.【考察】好酸球性胃腸炎の治療に関するエビデンスは乏しいが, 通常副腎皮質ステロイドを第一選択薬として用いることが多い. 本疾患の治療後の転帰は様々で完全に寛解が得られる症例がある一方で、副腎皮質ステロイドの減量後に再燃する症例が多いことも知られている. 今回, 胃腸炎症状を主訴に発症し副腎皮質ステロイドが著効した好酸球性胃腸炎の一例を経験したので, 文献的考察を交えて報告する.
索引用語 好酸球性胃腸炎, 副腎皮質ステロイド