セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | O-62:硬化型肝細胞癌の一例 |
演者 | 塚本 啓祐(宮城県立がんセンター 消化器科) |
共同演者 | 鈴木 眞一(宮城県立がんセンター 消化器科), 内藤 健夫(宮城県立がんセンター 消化器科), 相澤 宏樹(宮城県立がんセンター 消化器科), 及川 智之(宮城県立がんセンター 消化器科), 虻江 誠(宮城県立がんセンター 消化器科), 内海 潔(宮城県立がんセンター 消化器科), 野口 哲也(宮城県立がんセンター 消化器科), 鈴木 雅貴(宮城県立がんセンター 消化器科), 小野寺 博義(宮城県立がんセンター 消化器科) |
抄録 | 症例は63歳男性。2003年C型慢性肝炎に対しpeg-IFN+Ribavirin治療を施行しSVRとなっていたが、2012年のUS、CTで肝腫瘍が認められ当科紹介となった。既往歴はC型慢性肝炎以外には特になし。前医での血液学的検査所見では血算、生化ともに基準値内で、Child-Pugh5点。AFP、PIVKAIIといった腫瘍マーカーも基準値内であった。画像所見ではUSでS5に径33mm大の境界明瞭な低エコー腫瘤を認めた。腹部 CT 検査では、単純相でS5に約30mmの低吸収を示す腫瘤が存在し、動脈相では中心部にわずかな低吸収域を伴う濃染像を示した。門脈相、平衡相では周囲肝とほぼ同程度となり、wash-outは認められなかった。MRIでは、T1強調で低信号、T2強調で軽度高信号、拡散強調で高信号を示し、Gd-DTPA-BMA造影では早期相で濃染像を認め、門脈相から後期相で周囲肝組織よりも高信号となった。またGd-EOB-DTPA 造影では腫瘍内への取り込みは認められず低信号を呈した。血管造影検査ではCTAPでS5の腫瘍に一致したfilling defectを認め、右肝動脈の選択的造影では同部位に腫瘍濃染像を認めた。上部消化管および下部消化管では原発巣となりうる病変や肝外転移は認められず、以上から硬化性肝細胞癌、もしくは混合型肝細胞癌と診断し、肝S5亜区域切除を施行した。病理組織所見では、主病変は多結節癒合型の境界明瞭な腫瘍で、線維性間質が豊富に増生しその中に索状構造を呈する肝細胞類似の異型細胞が増殖しており、中分化相当の硬化型肝細胞癌と診断された。また背景肝実質はほぼ完成された肝硬変であった。全原発性肝細胞癌中1~4%と稀な腫瘍である硬化型肝細胞癌を経験した。古典的肝細胞癌とは異なる画像学的所見を呈し、術前に診断が確定しない場合も多く、多少の文献的考察を加え報告する。 |
索引用語 | 硬化型肝細胞癌, 線維性間質 |