共同演者 |
鎌田 健太郎(秋田大学 医学部 消化器内科), 後藤 隆(秋田大学 医学部 消化器内科), 三浦 光一(秋田大学 医学部 消化器内科), 大嶋 重敏(秋田大学 医学部 消化器内科), 佐藤 亘(秋田大学 医学部 消化器内科), 渋谷 友美(秋田大学 医学部 消化器内科), 道免 孝洋(秋田大学 医学部 消化器内科), 金田 遼(秋田大学 医学部 消化器内科), 酒井 利隆(秋田大学 医学部 消化器内科), 千葉 充(秋田大学 医学部 消化器内科), 杉本 侑孝(秋田大学 医学部 消化器内科), 南 慎一郎(秋田大学 医学部 消化器内科), 大西 洋英(秋田大学 医学部 消化器内科), 渡辺 剛(秋田大学 医学部 消化器外科), 吉岡 政人(秋田大学 医学部 消化器外科), 山本 雄造(秋田大学 医学部 消化器外科) |
抄録 |
【症例】66歳 女性【既往歴】関節リウマチ、高血圧、糖尿病にて内服加療中【現病歴】平成24年4月に食後嘔気、嘔吐あり近医受診。腹部超音波、CTにて膵IPMNが疑われ、精査目的に当科紹介となった。【検査所見】血液生化学検査では膵アミラーゼ 113IU/l、リパーゼ 23IU/l、CEA 6.7ng/ml、CA19-9 9.5U/ml、DUPAN2 25U/ml、エラスターゼI 89ng/dlであった。CT、MRIでは膵体部から膵頭部の主膵管が最大径12mmと拡張し、体部に主膵管と連続する20mm大の嚢胞性病変を認めた。嚢胞性病変は造影効果のある隔壁を有していた。また、同部の2次膵管の拡張と膵尾部の小さな嚢胞も認めた。主膵管は総胆管と合流せず総胆管の腹側を走行し、副乳頭から十二指腸に開口していた。腹側膵管と背側膵管の合流は認められるが、合流部は狭窄しており、不完全型膵管癒合不全と考えられた。EUSでは膵体部の嚢胞性病変内部に7.2mm大の結節を認めた。同部から頭部の主膵管は拡張し、主膵管内に5mm大の結節を認めた。ERCPでは十二指腸乳頭は正常で、副乳頭が開大し粘液の排出を認めた。副乳頭造影で主膵管の著明な拡張を認めた。副乳頭からの膵IDUSでも膵体部の嚢胞性病変は結節と壁肥厚を有しており、また、膵頭部の主膵管に直径5mmの結節を認めた。POPSでは膵頭部のみの観察であったが乳頭状結節を認めた。【経過】以上より膵管癒合不全を伴った混合型膵IPMNと診断し、7月10日に膵全摘術を施行した。病理所見はIntraductal papillary-mucinous adenocarcinoma(IPMC), non-invasive type, of the pancreas(ly0, V0, ne0, pBCM(-), pDCM(-), pR0, pN0)であった。標本造影では十二指腸乳頭からの造影では胆管のみが造影された。副乳頭からの造影では拡張した膵管および嚢胞性病変が造影され、わずかに腹側膵管が造影された。以上より膵管癒合不全に伴った膵管内乳頭粘液性癌と診断した。術後経過は良好で、再発なく外来通院中である。【考察】膵管癒合不全は本邦の1%前後にみられる比較的稀な疾患であるが、膵管内乳頭粘液性癌に伴った症例は更に極めて稀であると考えられ、文献的考察を加えて報告する。 |