セッション情報 一般演題

タイトル O-109:

東日本大震災によるストレスで発症したと考えられたCronkhite-Canada症候群の一例

演者 草野 昌樹(太田西ノ内病院 消化器科)
共同演者 鈴木 聡(太田西ノ内病院 消化器科), 今泉 博通(太田西ノ内病院 消化器科), 間 浩正(太田西ノ内病院 消化器科), 橋本 健明(太田西ノ内病院 消化器科), 今村 秀道(太田西ノ内病院 消化器科), 迎 慎二(太田西ノ内病院 消化器科)
抄録 【症例】70代女性【主訴】味覚障害【家族歴】特になし【既往歴】H9年右卵巣嚢腫手術、胆石手術、H12年高血圧、高脂血症、右耳難聴【現病歴】高血圧・高脂血症で近医に通院し、毎年EGDs施行していた。H23年10月頃より味覚障害出現。10/14近医でEGDs施行し、前庭部中心に多結節性変化・胃全体に粘膜浮腫状変化を認め、生検では浮腫状過形成性変化と形質細胞・好酸球・他の炎症細胞の浸潤あり。近医にてPPIでフォローも改善乏しく12/1再度近医でEGDs施行し、上記所見の増悪を認め、12/2当科紹介。12/7EGDs施行し、胃体下部~前庭部に浮腫状変化強く食欲不振続き下痢も呈したため、精査加療目的に当科入院。【経過】身体所見で、爪甲剥離・脱毛・舌炎を認めた。(以前、手指先に湿疹)症状も味覚異常(しぶ柿を食べた感じ、口が粘る感じ)食欲不振・下痢・体重減少を認めた。EGDsでは、前庭部中心にポリポーシスを認めた。(生検では、間質はedmatousで軽度の炎症細胞浸潤(形質細胞、好酸球)もみられる。腺管の拡張を認めた。)TCFでは、上行結腸から横行結腸にかけて胃と同様のポリポーシスを認めた。(生検では、間質はedematousで軽~中等度、ところにより高度な好酸球やリンパ球の浸潤をみる)以上よりCronkhite‐Canada症候群と診断し、PSL20mg/日を開始して外来フォローとした。2か月後のEGDsでは、著変はなく症状も改善せず。4か月後より、食欲・味覚障害・脱毛・下痢も改善した。7か月後にEGDs再検すると、以前より体部の発赤は消失し、前庭部のポリープは残存も少なくなっている。十二指腸炎も改善。少しずつPSL漸減しPSLmg/日で現在外来フォロー中。【考察】Cronknite-Canada症候群は、稀な疾患でまだ約400例位の報告しかない。しかし、その内の3/4は本邦から報告されている。そのnatural historyはなお不明であるが、精神的ストレスが大きく関係しているのではと考えられている。今回我々は、東日本大震災によるストレスで発症したと考えられたCronkhite-Canada症候群の一例を経験したので若干の文献学的考察を加え報告する。
索引用語 消化管ポリポーシス, 外肺葉系病変