セッション情報 特別企画 初期研修医(卒後2年迄)

タイトル W-08:

慢性C型肝炎に対する3剤併用療法開始直後に急性腎不全に至った1例

演者 宮澤 邦昭(弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座DELIMITER青森県立中央病院 消化器内科)
共同演者 菊池 英純(弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座DELIMITER青森県立中央病院 消化器内科), 高橋 一徳(弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座DELIMITER青森県立中央病院 消化器内科), 伊藤 智子(青森県立中央病院 消化器内科), 島谷 孝司(弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座DELIMITER青森県立中央病院 消化器内科), 金澤 浩介(青森県立中央病院 消化器内科), 棟方 正樹(青森県立中央病院 消化器内科), 沼尾 宏(青森県立中央病院 消化器内科), 福田 眞作(弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座)
抄録 【はじめに】慢性C型肝炎に対するTelaprevir(TVR)/Peginterferon alfa2b(PEG-IFN)/Ribavirin(RBV)3剤併用療法開始3日後に急性腎不全に陥り、全身浮腫・呼吸不全・血圧低下を来した症例を経験したので報告する。【症例】66歳女性【既往歴】高血圧、狭心症【現病歴】2006年に慢性C型肝炎を指摘。2007年にPEG-IFN/RBV併用療法を行いHCV RNAが陰性化したものの、治療後に再燃した。2012年9月、TVR/PEG-IFN/RBV3剤併用療法の導入目的で入院となった。【入院時検査】Hb10.9g/dl、AST 52IU/L、ALT 64IU/L、BUN 13.8mg/dl、Cre 0.64mg/dl【経過】TVR 2250mg、PEG-IFN 80μg、RBV 400mgで治療開始。第3病日になり倦怠感・全身浮腫が出現し、体重が入院時より4kg増加していた。同日昼に血圧66/36mmHg、SpO2 79%と全身状態が急激に悪化。BUN 62.9mg/dl、Cre7.39mg/dl、UA 14.4mg/dlと急性腎不全で無尿状態に陥った。胸部レントゲンで肺うっ血と心胸郭比の拡大、血液ガスで代謝性アシドーシスを認めたことから、ICU入室しノルアドレナリンを併用して持続的血液透析濾過(CHDF)を要した。第6病日になりCre 2.2mg/dl、尿量1200ml/日と回復したためCHDF終了、第7病日ICUを退室した。第9病日より食事開始し、第14病日に退院となった。【考察】本邦にて3剤併用療法で腎不全を発症しCHDFを要した2例目である。腎障害の機序は不明であるが早期に発現する傾向があり、高血圧や糖尿病患者でriskが高いとされる。高risk症例では治療回避の検討もする必要があり、日本人における至適用量再設定が急がれる。
索引用語 3剤併用療法, 腎不全