セッション情報 一般演題

タイトル O-80:

下血を契機に発見されたHemosuccus pancreaticusの1例

演者 柏木 真人(福島県立医科大学 消化器・リウマチ膠原病内科学講座)
共同演者 鈴木 良磨(福島県立医科大学 消化器・リウマチ膠原病内科学講座), 片倉 響子(福島県立医科大学 消化器・リウマチ膠原病内科学講座), 藤原 達雄(福島県立医科大学 消化器・リウマチ膠原病内科学講座), 郡司 直彦(福島県立医科大学 消化器・リウマチ膠原病内科学講座), 杉本 充(福島県立医科大学 消化器・リウマチ膠原病内科学講座), 土屋 貴男(福島県立医科大学 消化管外科), 見城 明(福島県立医科大学 消化管外科), 高木 忠之(福島県立医科大学 消化器・リウマチ膠原病内科学講座), 引地 拓人(福島県立医科大学付属病院 内視鏡診療部), 小原 勝敏(福島県立医科大学付属病院 内視鏡診療部), 大平 弘正(福島県立医科大学 消化器・リウマチ膠原病内科学講座)
抄録 【はじめに】カプセル内視鏡検査(CE)、小腸内視鏡検査などの内視鏡検査手技の発達により消化管出血の出血源検出頻度は向上が見られているが、それらの検査を行っても原因が明らかとならない症例が存在する。今回我々は、下血を繰り返し消化管検査を複数回行われたが、消化管に病変を認めず、診断に難渋したHemosuccus pancreaticusの1例を経験した。【症例】60歳代、男性【主訴】黒色便、ふらつき【既往歴】50歳 右肺癌にて右肺全摘出術【現病歴】X年4月上旬より心窩部痛を認め、近医で受診し、胃炎の診断にて内服加療されていた。5月中旬より暗赤色便および貧血が出現し、前医消化器科へ紹介された。上部消化管内視鏡検査(EGD)、大腸内視鏡検査(CS)を施行され、回腸末端部にびらんを認め、消炎鎮痛剤の影響を疑われ、対症的に経過を見られていた。6月中旬に同院にて施行されたCEで胃内に血液貯留を認め、貧血の進行が認められたため入院し、EGD、経口的小腸内視鏡検査およびCT検査を施行されたが、明らかな出血源は認められなかった。保存的に経過を見られ、6月末より食事再開したところ、7月初旬より再度黒色便の出現を認め、EGD、経肛門的小腸内視鏡検査、出血シンチ、Meckel憩室シンチを施行されたが出血源は同定できず、精査加療目的に当科紹介となった。EGD、CSを再検するも明らかな出血源は認められず、造影CT検査で膵尾部に5mmの脾動脈瘤を認めた。脾動脈瘤の膵管内穿破を疑い腹部血管造影検査を施行したところ、脾動脈瘤から膵管へ造影剤の漏出を認めた。外科にて膵尾部切除術および脾臓摘出術を施行され、切除標本にて脾動脈瘤と膵管の交通が確認された。【考察・結語】本症例は数カ月にわたり、原因不明消化管出血として消化管検査を繰り返されていたが、最終的には腹部血管造影検査にて小さい脾動脈瘤と膵管の交通により生じたHemosuccus pancreaticusと診断できた。消化管出血の原因としてHemosuccus pancreaticusも念頭に置く必要がある。
索引用語 原因不明消化管出血, 脾動脈瘤