セッション情報 一般演題

タイトル O-95:

東北大学におけるC型肝炎に対する肝移植の検討

演者 原 康之(東北大学病院 移植再建内視鏡外科)
共同演者 川岸 直樹(東北大学病院 移植再建内視鏡外科), 中西 渉(東北大学病院 移植再建内視鏡外科), 神保 琢也(東北大学病院 移植再建内視鏡外科), 阿佐美 健吾(東北大学病院 移植再建内視鏡外科), 山谷 英之(東北大学病院 移植再建内視鏡外科), 中西 史(東北大学病院 移植再建内視鏡外科), 武田 郁央(東北大学病院 移植再建内視鏡外科), 宮城 重人(東北大学病院 移植再建内視鏡外科), 佐藤 和重(東北大学病院 移植再建内視鏡外科), 関口 悟(東北大学病院 移植再建内視鏡外科), 佐藤 成(東北大学病院 移植再建内視鏡外科), 大内 憲明(東北大学病院 移植再建内視鏡外科)
抄録 【目的】C型肝炎に対する肝移植において移植後のC型肝炎再発はほぼ必発であることが知られている。C型肝炎にする肝移植の患者背景・予後・IFN治療等に関して,当科で施行した脳死及び生体肝移植症例を対象に検討した.【対象】1991年から2012年までのC型肝炎に対する脳死肝移植1例,生体肝移植11例の計12例.【結果】HCV genotypeは 1型が10例, 2型が2例であった.移植の適応疾患は,慢性C型肝炎による肝不全が7例,肝細胞癌が5例であった.当科では成人肝移植後の免疫抑制の導入は,CNI+Basiliximab+steroidの3剤併用を基本としている.免疫抑制導入時のCNIはTacrolimusが6例・cyclosporinが6例で,そのうち3例が副作用等によりCNIの変更を要した.当科では予防的IFN療法などは行わず,移植後にC型肝炎の再発が血中HCV-RNAの検出により確認された後にIFN+Ribavirin療法を行っている.12例中9例に再発を認めIFN+Ribavirin投与を開始した.その内7例がIFN開始時にsteroid投与を継続していた.移植からIFN治療開始までの期間は平均で55.3週(4-260週),IFN投与期間は平均で61.7週(16-168週)であった.IFN治療例のうち奏功例は56%(5/9例)であった(VR2例,SVR3例).死亡症例における死因の内訳は,肝不全3例,癌死2例,感染症1例で,肝不全のうち1例は移植後1か月以内に発症したfibrosing cholestatic hepatitis (FCH)であった.【結論】当科における慢性C型肝炎に対する肝移植について検討した.C型肝炎の再発が確認された後にIFN+Ribavirin療法を開始し半数以上の症例で奏功したが,IFNの投与期間が非常に長期となる場合がある.更なる成績向上のためには,移植後の免疫抑制剤やIFN療法の開始時期、期間に関して検討する必要があると考える.
索引用語 肝移植, C型肝炎