セッション情報 一般演題

タイトル O-40:

同時性胃転移を来たした横行結腸癌の一例

演者 真竹 一徳(公立藤田総合病院 消化器科)
共同演者 坂 充(公立藤田総合病院 消化器科), 大島 康嘉(公立藤田総合病院 消化器科), 木暮 敦子(公立藤田総合病院 消化器科), 近藤 祐一郎(公立藤田総合病院 消化器科), 寺島 信也(公立藤田総合病院 外科)
抄録 【背景】大腸癌は肝臓や肺へ転移することが多く、胃へ転移することはきわめて稀である。今回大腸と胃に悪性腫瘍を確認し、内視鏡診断と病理組織学的検索の結果より大腸癌の胃転移と考えられた一例を経験したので報告する。【症例】61歳、女性【主訴】軟便、下痢、嘔吐【既往歴】卵巣腫瘍で46歳時に手術【現病歴】軟便や下痢と嘔吐が出現し近医で受診した。便潜血が陽性で血液検査で著しい貧血が認められ、当院に紹介された。【現症】腹部:平坦、軟。下腹部正中に手術創を認め、明らかな腫瘤は認めず、右腹部に圧痛を認めた。【検査所見】WBC8100/μl、NEUT75.9%、RBC351万/μl、Hgb6.7g/dl、Ht21.8%、Plt49.2万/μl、TP6.6d/dl、T-BIL0.4mg/dl、AST11U/L、ALT7U/L、LD174U/L、ALP266U/L,CEA9.4ng/ml【経過】腹部CTで肝曲寄りの横行結腸に上行結腸を巻き込む腫瘤を認めたため大腸内視鏡検査を実施し、横行結腸に全周性の2型腫瘍を認め生検で中分化型から低分化型腺癌の診断を得た。術前検索の上部消化管内視鏡検査を行い、胃体部大弯に中心に深掘れの不正型陥凹を伴うSMT様腫瘤を認めた。生検では腫瘍は得られなかった。超音波内視鏡検査では粘膜下層から筋層に腫瘤を形成し転移性腫瘍が疑われた。以上から横行結腸癌とその胃転移と診断し、拡大結腸右半切除術と胃部分切除を施行した。【病理所見】大腸と胃の腫瘍はともに類似した組織像を示し、低分化型腺癌と中分化型腺癌が混在していた。内分泌系腫瘍との鑑別のためのクロモグラニン免疫染色では陰性であった。大腸の腫瘍は90×90mm大でpSI、ly2、v1、pN0(0/42)であった。胃の腫瘍は25×17mm大でpT3、ly3、v1であった。腫瘍の肉眼的形態から大腸が原発巣で胃が転移巣と考えられた。【経過】リンパ節転移は認められなかったが胃転移が確認されたため、XEROX+AVASTINで化学療法を開始した。【考察】他臓器癌の胃転移は比較的稀であり、さらに原発巣は悪性黒色腫、舌癌、食道癌が多く、原発巣が大腸癌の胃転移はきわめて稀で、本邦では現在まで17例ほどの報告しかない。報告例と本例を比較し、若干の文献的考察を加味し報告する。
索引用語 大腸癌, 胃転移