セッション情報 一般演題

タイトル O-20:

下部消化管内視鏡検査を契機に発見された早期原発性虫垂癌の一例

演者 阿部 咲子(大館市立総合病院 消化器・血液・腫瘍内科)
共同演者 山居 聖典(大館市立総合病院 消化器・血液・腫瘍内科), 速水 史郎(大館市立総合病院 消化器・血液・腫瘍内科), 相澤 弘(大館市立総合病院 消化器・血液・腫瘍内科), 吉原 綾子(大館市立総合病院 消化器・血液・腫瘍内科), 三浦 智也(大館市立総合病院 外科), 野崎 剛(大館市立総合病院 外科), 吉原 秀一(大館市立総合病院 外科), 小笠原 仁(大館市立総合病院 消化器・血液・腫瘍内科)
抄録 【症例】73歳男性【既往歴】平成5年より糖尿病、平成11年および12年に大腸ポリープに対し内視鏡的粘膜切除術施行【現病歴】平成23年8月、多発大腸ポリープの定期フォロー目的に下部消化管内視鏡検査(T-CS)施行したところ、虫垂開口部の開大程度の所見であったため、ポリープと併せて経過観察となっていた。平成24年7月31日、T-CS再検したところ、虫垂開口部に前回とは形態の変化した隆起性病変を認め、生検病理組織にてtubulovillous adenoma, high gradeであった。腹部CTにて虫垂開口部に17mm大の充実性腫瘤を認めた。リンパ節転移および多臓器への転移は認めなかったが、虫垂腫瘍の可能性が高いと考え、9月20日盲腸部分切除術を施行した。切除標本では虫垂基部に隆起性病変を認めた。病理組織学的所見ではtubulovillous adenomaを背景とし、一部に中分化型管状腺癌を認め、深達度はm、脈管侵襲やリンパ節転移は認めなかった。切除断端にはadenomaも認めなかった。また、粘液産生の亢進した組織像は認めなかった。術後経過は良好で術後10日目に退院し、現在は外来通院にて経過観察中である。【考察】原発性虫垂癌は比較的稀な腫瘍であり、消化管悪性腫瘍の0.2~1%と報告されている。虫垂癌は術前診断が大変難しいために、その多くは進行癌で発見され予後不良である。今回、経過中に腹痛などの自覚症状がなく、T-CSを契機として早期虫垂癌の発見に至った一例を経験した。T-CS時は虫垂開口部の入念な観察を行うことで、虫垂癌の早期発見・早期治療に繋がる可能性が示唆された。
索引用語 虫垂癌, 下部消化管内視鏡検査