セッション情報 一般演題

タイトル O-98:

胆管嚢胞腺癌の2切除例

演者 内藤 健夫(宮城県立がんセンター 消化器科)
共同演者 鈴木 眞一(宮城県立がんセンター 消化器科), 塚本 啓祐(宮城県立がんセンター 消化器科), 相澤 宏樹(宮城県立がんセンター 消化器科), 及川 智之(宮城県立がんセンター 消化器科), 虻江 誠(宮城県立がんセンター 消化器科), 内海 潔(宮城県立がんセンター 消化器科), 野口 哲也(宮城県立がんセンター 消化器科), 鈴木 雅貴(宮城県立がんセンター 消化器科), 小野寺 博義(宮城県立がんセンター 消化器科), 近藤 典子(仙台厚生病院 消化器外科), 千葉 良司(仙台厚生病院 病理診断・臨床検査科), 遠藤 希之(仙台厚生病院 病理診断・臨床検査科)
抄録 【症例1】87歳男性【主訴】食思不振【既往歴】徐脈性心房細動にてペースメーカー挿入中【現病歴】平成24年5月食欲不振で近医受診し、腹部エコーにて肝S3に充実成分を含む肝嚢胞を指摘され、当科紹介となった。【検査成績】軽度腎機能障害の他は特記すべき事項なし 【画像所見】CT:肝S3に43×42mmの嚢胞性腫瘤を認め、嚢胞は大小二つの房からなる多房性で、内腔に造影効果を有する2.0cmの結節を伴っていた。肝左葉外側区域の肝内胆管拡張を認めた。画像からは胆管嚢胞腺癌が第一に疑われ、肝左葉切除術を施行した。【病理組織学的所見】切除された肝左葉には52×34×70mmの多房性嚢胞性病変があり、粘液性の内容物を認めた。壁の一部には30×23mmの乳頭状隆起を認めた。病理組織像で乳頭状隆起の部位では腺癌を認め、平滑な部位では軽度から高度異形性相当の腺腫であった。嚢胞腔は左肝管との交通を認めた。以上より胆管嚢胞腺癌の診断となった。【症例2】80歳男性【主訴】特になし【既往歴】75歳胆嚢結石症にて胆嚢摘出術後【現病歴】以前より肝嚢胞を指摘されていたが、平成18年7月の腹部エコーにて嚢胞内に充実成分が出現し、当科紹介となった。【検査成績】軽度の腎機能障害の他は特記すべき事項なし【画像所見】腹部US:肝S8に45mmの内部エコー不均一な充実性腫瘤を認め、周囲には嚢胞を伴っていた。MRI:USでの充実性腫瘤は、T1WIで通常の嚢胞よりやや高信号を呈していた。ダイナミックスタディでは充実性腫瘤内部には辺縁より内腔に向かって突出する、造影効果を有する多数の乳頭状病変を認めた。以上より肝内胆管癌や胆管嚢胞腺癌が疑われ、肝右葉切除術を施行した。【病理組織学的所見】60×60×70mmの多房性腫瘍で、嚢胞内腔には粘液や血液の貯留を認めた。嚢胞内側壁には低乳頭状に増生した腺癌を認め、一部の嚢胞内側壁には腺腫を認めた。以上から胆管嚢胞腺腫から発生した胆管嚢胞腺癌と診断した。 【考察】胆管嚢胞腺癌は胆管内乳頭状腫瘍や粘液性嚢胞性腫瘍など複数の疾患が含まれた概念である。今回の症例は症例1、2ともに前者と考えられ、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 胆管嚢胞腺癌, 肝腫瘍