セッション情報 一般演題

タイトル O-110:

急激な経過をたどった腹膜悪性中皮腫の一例

演者 三上 哲彦(水戸済生会総合病院)
共同演者 鹿志村 純也(水戸済生会総合病院), 櫻井 健洋(水戸済生会総合病院), 大川原 健(水戸済生会総合病院), 中村 琢也(水戸済生会総合病院), 渡辺 孝治(水戸済生会総合病院), 柏村 浩(水戸済生会総合病院), 浅野 康治郎(水戸済生会総合病院), 仁平 武(水戸済生会総合病院)
抄録 【はじめに】腹膜悪性中皮腫は比較的まれな疾患であり、有効な治療法は未だ確立されておらず予後不良である。【症例】50歳代男性。(既往歴)特記事項なし。(生活歴)明らかなアスベスト曝露歴なし。(主訴)腹痛・腹満。(現病歴)2012年6月上旬から下腹部痛と下痢が出現した。症状が持続することから18日に近医を受診し内服薬を処方されたが症状改善しなかった。CTにて腹水を指摘され、25日に当院紹介受診となった。腹満が徐々に増強することから腹水の精査・加療目的に7月2日当院入院となった。(入院後経過)血液検査では、WBC10,200、CRP25と炎症反応を認め、腫瘍マーカーはCEA、CA19-9ともに正常範囲内だった。造影CTでは大量腹水を認め、入院一週間前に前医で撮影されたCTと比較して明らかに腹水が増加していた。腹水試験穿刺では黄色透明であり、細胞診ではClass4(由来不明の異型細胞)だった。入院7日目に大量の嘔吐を来たすようになり、CTにて上腸間膜動脈症候群を併発したと診断した。また腹水中ヒアルロン酸が25,000ng/mlと著明高値であることが判明し、追加免疫染色を実施したところ、入院15日目にD240(+)、CK5/6(-)、カルレチニン(-)、Ber-EP4(-)、CEA(-)、S100(-)、HMG45(-)と中皮腫に矛盾しない結果が得られた。全身状態が急速に悪化したことから確定診断のための開腹生検による組織診や化学療法も施行できなかった。緩和的治療を行いつつ入院32日後に永眠された。病理解剖は了承が得られず施行できなかった。【考察】菊池らは詳細に検討できた腹膜悪性中皮腫の生存期間中央値は12カ月であること、切除可能な症例は手術療法が化学療法より有意に生存期間が長いことや、白金製剤+代謝拮抗剤が有効であることを報告している。本症例では全身状態が急激に悪化したことから積極的治療ができなかった。今回、急激な経過をたどった腹膜悪性中皮腫の一例を経験したので報告する。
索引用語 中皮腫, 悪性