抄録 |
【症例】29歳, 女性.【現病歴】2012年5月上旬より腹部膨満感あり、近医で受診。腹部超音波検査にて, 肝腫瘤と腹水が認められ、精査加療目的に当科へ紹介となった.【既往歴】特記事項なし.【生活歴】職種; 介護職. 喫煙(10本/日).機会飲酒. 【内服薬】経口避妊薬.【血液検査】TP 6.6g/dl. Alb 3.7g/dl. T.Bil 0.98mg/dl. AST 89 IU/l. ALT 92 IU/l. LDH 502 IU/l. ALP 402IU/l. γGTP 75IU/l. P-AMY 122IU/l. BUN 6.2mg/dl. Cre 0.52mg/dl. CRP 10.4mg/dl. WBC 16300/μl. Hb 13.9g/dl. Plt 44x104/μl. PT% 86%. HCVAb(-). HBsAg(-).CEA 0.6ng/ml. CA19-9 0U/ml. DUPAN-2 364U/ml. CA125 298U/ml.【画像検査】腹部超音波で肝S4に大きさ57mm、内部不均一, 辺縁不整な低エコー腫瘤を認めた。腹部造影CTでは、腫瘤辺縁が動脈相で濃染および静脈相で淡染し、腫瘤中心では造影効果を認めなかった。また腫瘤末梢側の肝内胆管拡張が認められた.肝S5, S8にも淡い造影効果を示す小結節を認めた. その他、大網のびまん性肥厚, 胸腹水を認めた.【病理検査】肝腫瘍生検より低分化腺癌との組織診断が得られた。また胸腹水より腺癌細胞が認められた. 【治療経過】肝内胆管癌, 肝内転移, 腹膜播種と診断し, Gemcitabine / Cisplatine併用化学療法療を開始した. 胸水の増加による呼吸不全が認められたため胸腔ドレーンを留置し胸膜癒着術を施行した.化学療法2クール終了後, 腫瘍の縮小と腹水の減少が認められ(治療効果判定:SD)、全身状態が改善したため退院となった. 現在外来9クール目の化学療法を継続中であるが、病変の増悪なく良好に経過している. 【まとめ】化学療法が奏効した若年性肝内胆管癌の1例を経験した. 若干の文献的考察を含め報告する. |