セッション情報 一般演題

タイトル O-88:

短期間で増大した漿液性嚢胞腫瘍の一例

演者 勝見 修一郎(公立置賜総合病院 内科)
共同演者 安藤 嘉章(公立置賜総合病院 内科), 和田 佳子(公立置賜総合病院 内科), 渡邉 祐介(公立置賜総合病院 内科), 須貝 彩子(公立置賜総合病院 内科), 堀内 素平(公立置賜総合病院 内科), 小林 敏一(公立置賜総合病院 内科), 齋藤 裕之(公立置賜総合病院 内科), 赤松 学(公立置賜総合病院 内科), 高野 潤(公立置賜総合病院 内科), 大村 清成(公立置賜総合病院 内科), 武田 忠(公立置賜総合病院 内科), 齋藤 孝治(公立置賜総合病院 内科), 新澤 陽英(公立置賜総合病院 内科)
抄録 【症例】75歳女性。【既往歴】高血圧症、関節リウマチ、糖尿病、心筋梗塞を発症、その後からアスピリンおよびクロピドグレルを内服、H23・24年大腸憩室出血。【生活歴】飲酒・喫煙なし。【現病歴】H23年11月に大腸憩室出血で入院になった際に施行されたCT検査にて、膵尾部に40mm大の多房性の嚢胞性病変を指摘された。精査のEUSにて、微小嚢胞の集簇を中心として、数センチ大の嚢胞が取り囲む所見が得られたため、Mixed type SCN(serous cystic neoplasm)が疑われた。経過観察を受けていたところ、H24年7月に再度大腸憩室出血にて入院。その際のCTにて膵嚢胞性病変の増大が認められた。8月のMRCPでは病変が58mm大とさらに増大し、病変尾側主膵管には拡張がみられたため、精査目的に入院となった。【経過】ERCPでは嚢胞性病変と膵管との交通が確認できた。嚢胞内にカテーテルを進め、内容物を吸引すると、浮遊物の多い褐色調半混濁の漿液性の液体が吸引された。細胞診は陰性であった。精査の結果からSCNが疑われたが、短期間に増大したことから悪性の可能性を否定できず、腹腔鏡下膵体尾部切除術を施行した。腫瘍は多房性で、嚢胞内容液は漿液性であった。割面をみるとmicrocysticが大多数で一部が1cmを超えておりMixed type SCNと考えられた。病理組織型はserous cystadenomaであった。リンパ節転移は認めなかった。【考察】SCNの大半の報告例は良性とされているため本邦では経過観察とされることが多い。しかし、本症例は急速に増大したため手術となった。病変増大の原因としては抗血小板薬を内服していたことにより嚢胞内に出血をきたしたことが最も考えられた。抗血小板薬を内服しているSCNの症例で、今回のような嚢胞の急速増大をきたした報告は少なく、非常に興味深い症例と考え、文献的考察を加えて報告する。
索引用語 漿液性嚢胞腫瘍, 膵腫瘍