セッション情報 | 特別企画 後期研修医(卒後3-6年) |
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タイトル | W-15:肝門部胆管癌との鑑別を要したIgG4関連硬化性胆管炎の1例 |
演者 | 本郷 星仁(東北厚生年金病院 消化器科) |
共同演者 | 目黒 敬義(東北厚生年金病院 消化器科), 支倉 翔太郎(東北厚生年金病院 消化器科), 松村 吉史(東北厚生年金病院 消化器科), 鈴木 範明(東北厚生年金病院 消化器科), 宇都宮 恭子(東北厚生年金病院 消化器科), 米地 真(東北厚生年金病院 消化器科), 山本 毅(東北厚生年金病院 消化器科) |
抄録 | 【症例】86歳、男性【現病歴】2012年4月25日右上腹部痛にて初診、入院。肝機能は正常であったが、急性胆嚢炎と診断し4月26日に腹腔鏡下胆嚢摘出術を行った。無石胆嚢炎であった。5月14日閉塞性肝機能障害にて第2回目入院。CTにて肝門部胆管の全周性の壁肥厚、MRCPにて肝門部胆管狭窄が認められたため、肝門部胆管癌を疑いERCPを施行した。肝門部胆管は全周性に糸状に狭窄し、同部位の擦過細胞診を行い、ERBD stentを留置した。鑑別診断として胆摘後良性胆管狭窄、原発性硬化性胆管炎、IgG4関連硬化性胆管炎が考えられたが、細胞診では異型細胞は認められず、抗核抗体80倍、IgG4 237mg/dlと高値を示したので、日本胆道学会、IgG4関連硬化性胆管炎臨床診断基準2012に基づいて準確診として、オプションであるステロイド治療の効果を見ることとした。5月29日よりプレドニゾロン30mg/日経口投与を開始して漸減したところIgG4の正常化とともにMRCP、ERCPでの肝門部胆管狭窄像は消失し、ERBD stentを抜去した。【考察】IgG4関連性硬化性胆管炎は、IgG4が関連する全身性疾患(IgG4関連性硬化性疾患)の胆管病変である。多くは自己免疫性膵炎に合併するが、膵病変が軽微な例や明らかでない例も存在する。今回我々は、無石性の急性胆嚢炎で発症し、手術後に肝門部胆管狭窄による閉塞性肝機能障害を発症し、肝門部胆管癌を疑い諸検査を行ったが、抗核抗体陽性やIgG4高値より、IgG4関連性硬化性胆管炎が強く疑われ、プレドニゾロン投与を開始したところ、胆管狭窄の改善が見られた一例を経験した。一般的に本疾患は原発性硬化性胆管炎および胆管癌、膵癌などの腫瘍性病変との鑑別は容易でなく、特にIgG4関連硬化性胆管炎単独で発症する症例では診断に難渋する。本症例では、細胞診結果などから悪性疾患との鑑別は行ったが、胆管外のIgG4関連合併症の存在については明確ではない。異時性に発生する可能性なども考慮しながら、今後も検査を追加しつつ経過観察を行っていく必要があると考えられる。 |
索引用語 | IgG4関連硬化性胆管炎, 肝門部胆管癌 |