セッション情報 一般演題

タイトル O-12:

肛門管癌の1例

演者 橋本 林太朗(仙台厚生病院 消化器内視鏡センター)
共同演者 佐藤 俊(仙台厚生病院 消化器内視鏡センター), 青木 隼人(仙台厚生病院 消化器内視鏡センター), 二瓶 公佑(仙台厚生病院 消化器内視鏡センター), 西条 勇哉(仙台厚生病院 消化器内視鏡センター), 中條 恵一郎(仙台厚生病院 消化器内視鏡センター), 濱本 英剛(仙台厚生病院 消化器内視鏡センター), 奥薗 徹(仙台厚生病院 消化器内視鏡センター), 宮下 祐介(仙台厚生病院 消化器内視鏡センター), 水野 浩志(仙台厚生病院 消化器内視鏡センター), 羽根田 晃(仙台厚生病院 消化器内視鏡センター), 高橋 佳之(仙台厚生病院 消化器内視鏡センター), 高林 広明(仙台厚生病院 消化器内視鏡センター), 三宅 直人(仙台厚生病院 消化器内視鏡センター), 三島 利之(仙台厚生病院 消化器内視鏡センター), 松田 知己(仙台厚生病院 消化器内視鏡センター), 石橋 潤一(仙台厚生病院 消化器内視鏡センター), 中堀 昌人(仙台厚生病院 消化器内視鏡センター), 遠藤 希之(仙台厚生病院 病理科), 長南 明道(仙台厚生病院 消化器内視鏡センター)
抄録 【症例】80歳代女性【既往歴】49歳子宮筋腫、72歳腸閉塞【現病歴】2012年5月より排便時出血があり、10月に当科を受診した。下部消化管内視鏡検査では、Herrmann線上の左壁に、φ2.5cm大の不整な陥凹性病変を認めた。口側の辺縁は、SMT様に隆起し、陥凹内は大小の乳頭状構造ないし顆粒からなり、一部で潰瘍を形成していた。病変の肛門側端には、メラニン色素の沈着がみられた。腫瘍の主座は、ちょうどHerrmann線上に存在しており、直腸由来か肛門管由来かの判断が困難だったが、生検で扁平上皮癌と診断された事から、肛門管癌と診断した。CTおよびFDG PET-CTでは転移を認めず、cStageII(T2N0M0)の診断となった。治療法の選択肢として放射線化学治療と外科的切除について十分に説明したところ、後者を希望された。2012年11月に当院外科にて腹会陰式直腸切断術を施行された。【病理組織結果】腫瘍は中分化~高分化型扁平上皮癌であり、固有筋層および肛門括約筋を破壊して周囲に浸潤し、pA(pT3), med, INFa, ly0, v2, pN0, pPM0, pDM0, pRM0の診断であった。【考察】肛門管癌は、肛門の移行帯上皮、および肛門上皮から発生する癌である。肛門管癌の頻度は、全大腸癌の1-3%を占めるにすぎない。また、本邦では、外科的肛門管に発生した癌を肛門管癌としているため、腺癌が最も多く、扁平上皮癌の割合は15%と稀である。肛門管癌の治療は、欧米では放射線化学治療の長期成績が外科的切除と変わらないことから前者が第一選択となっているが、本邦では治療に関する十分なコンセンサスがえられておらず、外科的切除が第一選択となることが多い。今回、我々は比較的稀な肛門管癌の1例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 肛門管, 扁平上皮癌