セッション情報 |
一般演題
|
タイトル |
O-41:胃アニサキス症による好酸球性肉芽腫を合併し治療方針に難渋した胃癌の1例
|
演者 |
高野 幸司(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科) |
共同演者 |
高橋 広喜(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 野口 謙治(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 梅津 輝行(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 菊池 弘樹(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 吉田 はるか(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 宍倉 かおり(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 山尾 陽子(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 塩塚 かおり(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 杉村 美華子(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 阿子島 裕道(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 木村 憲治(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 田邊 暢一(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 岩渕 正広(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 真野 浩(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 鵜飼 克明(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 田所 慶一(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 菊池 亮介(宮城県対がん協会), 加藤 勝章(宮城県対がん協会), 渋谷 大助(宮城県対がん協会) |
抄録 |
【症例】30歳代,男性【主訴】胃病変の精査加療目的【既往歴】特記事項なし【現病歴】平成24年7月の胃がん検診で胃前庭部に異常を指摘され前医を受診した.9月上旬の上部消化管内視鏡検査にて前庭部前壁に潰瘍瘢痕を伴う0-IIc病変を認め生検にてGroup5(por,tub2,sig)であり早期胃癌と診断され,9月末に当院紹介となった.【検査所見】血液検査:白血球数は5900/μlと正常範囲内であったが好酸球分画が16.9%と高値であった. CEA,CA19-9は正常範囲内であった.上部消化管内視鏡:前庭部の病変は前医所見と異なり0-IIc病変の周囲にSMT様の隆起と多発性のびらんを生じており,陥凹面は不明瞭となっていた.超音波内視鏡:第3層および第4層の肥厚を伴うスキルス様の腫瘍性病変として描出され,腫瘍の外側は一部で周囲との境界が不整であった. CT:胃病変ははっきりしなかったが領域リンパ節および腹部大動脈周囲リンパ節の腫大を認めた.PET-CT:胃前庭部,領域リンパ節,腹部大動脈周囲リンパ節にFDGの集積を認めた.以上より,未分化型癌であることをふまえcT3(SS)cN2M1 StageIVと診断した.【経過】治療方針として術前化学療法も検討したが,遠隔転移は疑われるものの若年者に発症した未分化型癌であり,年齢および本人の希望を考慮し外科手術を先行して行う方針とした.スキルス癌が疑われたため10月中旬に胃全摘術,D2+郭清を施行した.手術所見では深達度T3(SS),リンパ節転移N2が疑われたが,病理組織診断では深達度T1a(M)の粘膜癌でリンパ節転移は認めなかった.さらに病変部の粘膜下層内に過去のアニサキス虫体の存在を示唆する空隙を有する好酸球性肉芽腫の形成を認めた.また,後日術前の血清より測定した抗アニサキスIgE抗体価が73.6IU/mlと高値を呈していた.【考察】本症例は組織型が未分化型癌の若年性胃癌で,CTとPET-CTで遠隔リンパ節転移が疑われ,またEUSではスキルス様の病変として描出されたため過剰診断となってしまい結果的に過大侵襲な治療となった.腫瘍が急激な形態変化をきたした際は,感染や炎症の可能性も考慮し慎重に診断・治療を行うべきと思われた. |
索引用語 |
胃癌, 好酸球性肉下種 |