セッション情報 一般演題

タイトル O-54:

咽頭部違和感に対して麦門冬湯が有効であった原発性胆汁性肝硬変の1例

演者 作田 和裕(小国町立病院 内科)
共同演者 作田 和裕(小国町立病院 内科), 奥本 和夫(山形大学医学部 消化器内科), 伊藤 宏(小国町立病院 内科), 阿部 吉弘(小国町立病院 内科)
抄録 【症例】70歳女性【既往歴】57歳時に気管支喘息、甲状腺機能亢進症、高血圧【家族歴】特記事項なし【現病歴】2003年より軽度の肝機能障害を指摘されていたが経過観察していた。2006年夏頃より咽頭部違和感が強くなり耳鼻科受診。喉頭ファイバー、消化管内視鏡で逆流性食道炎、慢性咽喉頭炎と診断されPPI、NSAID、ムコダインを処方されたが症状は軽快しなかった。2009年5月に抗核抗体、抗ミトコンドリア抗体陽性を指摘され、肝生検にて原発性胆汁性肝硬変の診断となった。その後も咽頭部違和感は持続していた。【血液検査成績】WBC3000/μl、Hb10.4g/dl、Plt20.9万/μl、PT80%、Alb3.6g/dl、AST29 IU/l、ALT23 IU/l、ALP 484 IU/l、γ-GTP19 IU/l、FT3 1.795pg/ml、FT4 2.26ng/ml、TSH 1.79μIU/ml、IgG1571mg/dl、IgM79mg/dl、抗核抗体1280倍、抗ミトコンドリア抗体20倍、抗ミトコンドリアM2抗体41、HCV抗体(-)、HBs抗原(-)、抗SS-A抗体(+)、抗SS-B抗体(-)、抗Scl-70抗体(-)、抗セントロメア抗体(+)【腹部CT検査】右葉の萎縮と左葉腫大あるが、HCCや腹水を認めず【上部消化管内視鏡検査】GERD LA-M、食道静脈瘤を認めず【肝生検組織検査】リンパ球の胆管浸潤、偽胆管の増生あるが、形質細胞の浸潤は認めず【経過】シェーグレン症候群を疑いガムテストを行ったところ唾液量の減少(0.7ml/10分)を認めた。咽頭部違和感も唾液、咽頭部粘液減少に伴う乾燥症状と判断した。麦湯冬湯の内服を開始したところ咽頭部違和感は改善しその後は悪化を認めていない。【考察】シェーグレン症候群は全身の外分泌腺の慢性炎症に基づく乾燥症候群であり、原発性胆汁性肝硬変の約30%に合併するといわれている。麦門冬湯は唾液分泌を促進する作用があり、内服後約2時間で唾液量が最高値になる。本例ではシェーグレン症候群による乾燥症状に対して麦門冬湯の唾液分泌促進作用が症状緩和に奏功したと思われる。【結論】シェーグレン症候群による咽頭部違和感に対して麦門冬湯が有効であった原発性胆汁性肝硬変の1例を経験したので報告する。
索引用語 原発性胆汁性肝硬変, シェーグレン症候群