セッション情報 ワークショップ「胆膵疾患診療のup to date」

タイトル WS-09:

総胆管結石に対するEST截石後のENBD留置、生食洗浄は結石再発抑制に有用である

演者 佐藤 晃彦(栗原市立栗原中央病院 内科)
共同演者 佐藤 修一(栗原市立栗原中央病院 内科), 小西 秀知(栗原市立栗原中央病院 内科), 荒井 壮(栗原市立栗原中央病院 内科), 木田 真美(栗原市立栗原中央病院 内科), 布施 香(栗原市立栗原中央病院 健診センター), 小林 光樹(栗原市立栗原中央病院 内科), 小泉 勝(栗原市立栗原中央病院 健診センター)
抄録 【目的】内視鏡的乳頭括約筋切開術Endoscopic sphincterotomy (EST)は総胆管結石に対する標準的治療として広く用いられているが、 結石再発頻度は約15~25%と高率である。これまで結石再発に対する有効な予防手段は確立されていない。胆管造影で指摘されない微小残石や胆泥が再発に関与するとの報告がある。我々は、微小残石を排除することを目的に、EST截石後にendoscopic nasobiliary drainage (ENBD)チューブを留置して胆管内を洗浄し、結石再発に対する効果を検討した。【方法】当院で総胆管結石に対する初回治療としてESTを施行し、胆管造影にて完全排石が達成されたと判断された228症例をENBD留置群(D群、n=114)とENBD非留置群(N群、 n=114)の2群に割りつけた。 D群では截石達成後に総胆管内に6Fr ENBDチューブを留置し、翌日から生食20mlにて1日2回、7日間、ENBDチューブを介して胆管を洗浄した。退院後は臨床徴候に留意しながら、採血所見、画像所見を定期的にフォローした。総胆管結石再発が疑われた場合には再入院のうえERCPにて確定診断した。【成績】平均37ヵ月のフォロー期間中21 症例 (9.2%)に結石再発を認めたが、N群の15.8%に対してD群では2.6%と有意に低値であった(p=0.001)。再発までの期間には両群に有意差を認めなかった。再発時、7症例(33%)は自覚症状がなく、3症例では血液生化学検査に異常を認めなかった。再発例全例が、結石再発の危険因子として知られる総胆管径15mm超、胆管屈曲角135度未満、傍乳頭憩室のいずれかに該当していた。これらの再発危険因子の合併率は両群に有意差を認めなかった。ENBD留置・生食洗浄は独立した結石再発抑制因子であることが明らかになった(相対危険比0.174、 p=0.00064)。【結論】総胆管結石に対してEST截石後、ENBDチューブを短期間留置し、胆管を生食で洗浄することにより総胆管結石再発が有意に抑制された。
索引用語 ENBD, EST