セッション情報 ワークショップ「胆膵疾患診療のup to date」

タイトル WS-12:

術後腸管の内視鏡的胆管ドレナージ術の工夫

演者 松本 信(岩手県立中央病院 内視鏡科)
共同演者 村上 晶彦(岩手県立中央病院 内視鏡科), 天野 良彦(岩手県立中央病院 内視鏡科), 三浦 真奈美(岩手県立中央病院 内視鏡科), 池端 敦(岩手県立中央病院 消化器科), 城戸 治(岩手県立中央病院 消化器科), 小原 範之(岩手県立中央病院 消化器科), 金澤 義丈(岩手県立中央病院 消化器科), 高橋 太郎(岩手県立中央病院 消化器科), 高橋 健一(岩手県立中央病院 消化器科), 大方 英樹(岩手県立中央病院 消化器科), 横山 直信(岩手県立中央病院 消化器科)
抄録 【背景】特殊な胆管ドレナージとして、術後のBillroth II法再建や十二指腸切除後(Child法)で輸入脚が長い症例、Roux-en-Y吻合症例においては通常の内視鏡では乳頭部や吻合部に到達することすら困難な場合があり、最近ではダブルバルーン内視鏡を用いた内視鏡的胆管ドレナージ術が行われている。しかし、十二指腸切除後の胆管空腸吻合部への到達や、胆管へのステント留置に難渋する場合が多い。【対象と方法】当院においてダブルバルーン内視鏡を使用してERCPを施行した15症例20回(2010年10月から2012年10月まで)で検討した。ダブルバルーン内視鏡を使用して、胆管空腸吻合部に対する経口的な胆道へのアプローチの際、可変式のカニューレを使用してWire-GuidedまたはWire-loaded cannulation法で胆管へカニュレーションし、その後、軸を合わせて6mmのバルーンで拡張してからステントを留置する方法を採用した。【成績】15症例のうち9例では通常の造影カテーテルで胆管造影、カニュレーションが可能であった。5例でスイングチップを使用したところ5例で胆管造影可能であった。胃癌術後(Roux-en-Y吻合症例)の肝門部転移による閉塞性黄疸例1例はY脚への到達が不能であった。膵癌術後肝転移による閉塞性黄疸例において、十二指腸切除後(Child法)で輸入脚が長い症例があったが上記の方法で減黄術が可能であった。胃癌術後(Roux-en-Y吻合症例)の肝門部転移による閉塞性黄疸例でも上記の方法でステント留置が可能であった。【結論】専用処置具がまだ開発されていない現段階では、ダブルバルーン内視鏡下に可変式のカニューレを使用し、その後軸を合わせ、6mmのバルーンで拡張してからステントを留置する方法は術後の胆管ドレナージ困難例に対して試みる方法と考えられた。また、胆管へのカニュレーションの際、先端構造の異なるガイドワイヤーを組み合わせて挿入性を高めることも有効である。
索引用語 ダブルバルーン内視鏡, ERCP