セッション情報 シンポジウム「B型肝炎治療の工夫」

タイトル S-08:

当院において慢性B型肝炎に対してペグインターフェロンを投与した2例

演者 涌井 祐太(気仙沼市立病院)
共同演者 鶴田 伸一(気仙沼市立病院), 乗田 一明(気仙沼市立病院), 石橋 信之(気仙沼市立病院), 小松 正歩(気仙沼市立病院), 菅田 英明(気仙沼市立病院), 星 達也(気仙沼市立病院), 笠沼 勇一(気仙沼市立病院), 安海 清(気仙沼市立病院)
抄録 [背景]慢性B型肝炎に対するインターフェロン(IFN)療法は、若年者を中心にドラッグフリーを目指す治療として行われてきた。2011年9月よりペグインターフェロン(Peg-IFN)も使用可能となり、さらなる治療成績の向上が期待されている。これまでの間に当院でも慢性B型肝炎2例に対してPeg-IFNα2aを48週間投与した。そのうち一例は著効を示し、もう一例では治療効果が認められなかった。今回その2例を報告し、慢性B型肝炎に対するPeg-IFN治療について考察をする。【症例1】30歳女性。健診にて肝機能障害を指摘され近医を受診し、慢性B型肝炎と診断された。Genotype C、HBV DNA >9.1LC/ml、HBeAg 1510S/CO、HbeAb 0.1%、AST 25IU/ml、ALT 49IU/ml、血小板 万/μlであった。2011年9月よりPeg-IFNα2a 180μgが投与開始となった。その後、HBeAg、HBV-DNAは低下し、平成23年11月に転居となり、2011年12月に当院を受診した。その際にはHBeAgとHBs抗原は陰性化していた。その後も2012年8月まで48週間Peg-IFNの投与を継続した。治療終了時にはHBs抗体も陽性となり、HBs抗原も陰性であった。【症例2】32歳男性。以前より近医にて慢性B型肝炎としてフォローされていたが、今回治療のため2011年12月に当科紹介となった。Genotype C、HBV DNA >9.0LC/ml、HBeAg 436.1S/CO、HbeAb 0.1% 、AST 27IU/ml、ALT 55IU/ml、血小板 18.1万/μlであった。12月21日よりPeg-IFNα2a 180μgを投与開始した。その後もHBV DNA、HBeAgの低下は認められなかった。2012年11月にて48週間の投与を終了したが、HBV DNA >9.0LC/ml、HBeAg 351.9S/CO、HbeAb 0.1%、AST 32IU/ml、ALT 59IU/mlと治療効果は現在までのところ、認められていない。【考察】慢性B型肝炎に対するPeg-IFN治療については、HBeAg/Abのseroconversionおよび肝炎の沈静化が得られるのは3割程度と報告されている。しかしながら、本症例のようにHBs抗原の陰転化を得られるケースもあり、若年者に対しては積極的に投与してもよいと考えられた。
索引用語 B型肝炎, インターフェロン