セッション情報 一般演題

タイトル O-63:

肝内胆管癌との鑑別を要した硬化型肝細胞癌の1例

演者 藤田 将史(福島県立医科大学附属病院 消化器・リウマチ膠原病内科学講座)
共同演者 高住 美香(福島県立医科大学附属病院 消化器・リウマチ膠原病内科学講座), 郡司 直彦(福島県立医科大学附属病院 消化器・リウマチ膠原病内科学講座), 岡井 研(福島県立医科大学附属病院 消化器・リウマチ膠原病内科学講座), 勝嶋 史子(福島県立医科大学附属病院 消化器・リウマチ膠原病内科学講座), 菅野 有紀子(福島県立医科大学附属病院 消化器・リウマチ膠原病内科学講座), 阿部 和道(福島県立医科大学附属病院 消化器・リウマチ膠原病内科学講座), 高橋 敦史(福島県立医科大学附属病院 消化器・リウマチ膠原病内科学講座), 大平 弘正(福島県立医科大学附属病院 消化器・リウマチ膠原病内科学講座), 岡田 良(福島県立医科大学附属病院 器官制御外科学講座), 八島 玲(福島県立医科大学附属病院 器官制御外科学講座), 小山 善久(福島県立医科大学附属病院 器官制御外科学講座)
抄録 【症例】75歳男性【既往歴】17歳:虫垂切除術、28歳:両側扁桃摘出、64歳:狭心症にてステント留置、73歳:胃ポリープ内視鏡的切除術【生活歴】飲酒:日本酒・焼酎2-3合/日、輸血:なし 【臨床経過】50歳頃からアルコール性肝障害、C型慢性肝炎を指摘されていたが放置していた。平成24年の健診で肝障害を指摘され近医で受診した。腹部エコー、CTにて肝腫瘍を指摘され当科へ紹介された。腹部3相造影CTでは肝硬変の所見は認めず、右葉に動脈相で辺縁のみ造影され、平衡相で内部造影が増強する4cm大の腫瘍を認めた。腫瘍マーカーはAFP、PIVKA-2、CEA、CA19-9のいずれも正常値であった。肝細胞癌としては非典型的であり、肝内胆管癌や転移性肝癌が鑑別として挙げられ肝腫瘍生検を施行された。組織所見にて線維性間質を伴う中分化型肝細胞癌と診断され、当院外科にて拡大肝右葉切除術+胆嚢摘出術が施行された。摘出標本の組織所見にて中分化型肝細胞癌、索状型+硬化型と最終診断された。【考察】硬化型肝細胞癌は肝細胞癌全体の1%~数%程度の稀な疾患である。腫瘍内は線維性間質に富んでいるため、画像検査では肝内胆管癌や転移性肝癌に近い所見が認められることが多く、本症例でも肝内胆管癌との鑑別を要した。予後については通常の肝細胞癌と比べて比較的良好であるという文献が散見されるが、本症例はC型慢性肝炎に罹患しており、通常型肝細胞癌の出現も含めて今後も注意深く経過を見ていく必要があると考えられた。【結語】肝内胆管癌との鑑別を要した硬化型肝細胞癌の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 硬化型肝細胞癌, 肝細胞癌