セッション情報 ワークショップ「胆膵疾患診療のup to date」

タイトル WS-08:

膵仮性嚢胞に対するEUSガイド下ドレナージの治療戦略

演者 佐藤 愛(医科大学)
共同演者 入澤 篤志(福島県立医科大学会津医療センター 消化器内科学講座), 大平 弘正(医科大学)
抄録 【背景と目的】EUSガイド下の膵嚢胞ドレナージ(EUS-guided cyst drainage: EUS-CD)は,通常内視鏡のみでの穿刺に比べ安全性が高い。膵仮性嚢胞は成因から3 type(Type1:急性膵仮性嚢胞,Type2:慢性膵炎急性増悪後の仮性嚢胞,Type3:慢性仮性嚢胞(貯留嚢胞))に分類され,これらは嚢胞と胃壁の癒着の有無を判断する上で重要である。Type1/2は膵外への炎症波及に伴い,膵・胃間の網嚢腔が嚢胞腔となり胃壁自体が嚢胞壁を兼ねているためEUS-CDの良い適応となる。一方Type3は基本的に膵内嚢胞であり,胃壁と嚢胞壁は異なるため穿刺時に注意を要する。また,ドレナージチューブの留置のみでは効果不十分なType1/2例では内視鏡を直接嚢胞内に挿入し,効果的に壊死物質を洗浄する嚢胞内洗浄が有効である。これらを念頭にEUS-CDの有用性をretrospectiveに検討した。【対象と方法】対象はEUS-CDを施行した35例中(M:F=28:7,平均年齢51歳,慢性膵炎24例,他11例)Type1,2,3は各々7,15,13例。形成後6週間以上径6cm以上の嚢胞を適応とした(高度炎症例は期間を問わず施行)。感染の合併や高エコーの内容液の際には外瘻法を基本とし,必要時内瘻を追加したが,近年は内外瘻同時留置を基本とした。【結果】最終的な有効率はType1が85.7%,Type2 93.3%,type3 83.3%。Type1では外瘻留置の5例中効果不十分で内瘻等追加が3例,内外瘻同時留置1例と内瘻のみの1例は追加手技なし。Type2は外瘻6/12例で不十分,内外瘻同時留置1/4例中で不十分,内瘻のみの2例は追加なし。Type3は外瘻4/9例で不十分、内外瘻1/3例で不十分,内瘻のみ1/2例で不十分。嚢胞内洗浄は4例施行した。偶発症は胆嚢誤穿刺1例,嚢胞穿破3例,Type3の1例で手技中に胃壁と嚢胞が解離し手術となった。【結語】EUS-CDは安全性が高く有用な手技だが,より効果的に施行するために成因を十分考慮することが重要である。
索引用語 膵嚢胞, EUS