セッション情報 |
ワークショップ13(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)
高齢者上部消化管出血における止血治療戦略-静脈瘤を除く
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タイトル |
内W13-8:高齢者出血性胃潰瘍の臨床的特徴と内視鏡的止血術の有用性に関する検討
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演者 |
木村 茂(広島市立安佐市民病院・消化器内科) |
共同演者 |
永田 信二(広島市立安佐市民病院・内視鏡内科), 上田 裕之(広島市立安佐市民病院・消化器内科) |
抄録 |
【目的】80歳以上の高齢者における出血性胃潰瘍の臨床的特徴と内視鏡的止血術について検討する。【対象と方法】対象は2011年11月までの9年間に当院にて上部内視鏡検査を施行した出血性胃潰瘍456例で、80歳以上の高齢者群 (以下A群)86例と80歳未満の一般群 (以下B群)370例に分類し、背景因子、内視鏡的止血成績につき検討した。【結果】平均年齢、性別はA群 85.0±3.8歳 (80~96歳)、男性45例、女性41例:B群62.4±11.5歳 (25~79歳)、男性286例、女性84例で高齢者群では女性の頻度が高かった。H.p感染率は、A群45.0% (27/60):B群76.1% (223/293)、NSAID内服率はA群52.3% (45/86):B群27.8% (103/370)、抗凝固血小板剤内服率はA群29.0% (25/86):B群20.8% (77/370)であり、A群はB群に比べ有意にH.p感染率が低く、NSAID内服率が高かった。貧血 (Hb8.0g/dl以下)の頻度はA群53.5% (46/86):B群33.9% (125/369)、輸血施行例はA群73.3% (63/86):B群43.8% (162/370)、来院時の収縮期血圧80mmHg未満はA群7.1% (6/85):B群6.0% (22/365)、頻脈 (心拍数100/分以上)の頻度はA群16.0% (12/75):B群42.2% (138/327)であり、A群はB群に比べ有意に貧血の頻度、輸血施行率が高く、頻脈の頻度が低かった。検査前のCT施行率はA群36.0% (31/86):B群16.7% (62/370)であり、A群はB群に比べ有意にCT施行率が高かった。内視鏡的止血後の再出血はA群9.3% (8/86):B群4.6% (17/370)、内視鏡的止血不能率はA群0% (0/87):B群1.9% (7/370)であり、いずれも有意な差を認めなかった。内視鏡的止血後30日以内の死亡率はA群1.2% (1/86)、B群1.1% (4/370)であったが、いずれも肺炎や悪性腫瘍などの重篤な合併症によるものであり、出血死は1例も認めなかった。【結語】80歳以上の高齢者の出血性胃潰瘍は80歳未満と比べ、H.p感染、NSAIDsの内服などの背景因子に違いはあるものの、CTによる合併疾患の把握や輸血などによる十分な全身管理のもとでの内視鏡的止血術は、80歳未満と同様に有用なものと考えられた。 |
索引用語 |
出血性胃潰瘍, 高齢者 |