セッション情報 一般演題

タイトル O-49:

C型肝硬変に対するインターフェロン導入目的に,部分的脾動脈塞栓術(PSE)を施行した一例

演者 阿部 泰明(国立病院機構 仙台医療センター)
共同演者 田邊 暢一(国立病院機構 仙台医療センター), 梅津 輝之(国立病院機構 仙台医療センター), 山尾 陽子(国立病院機構 仙台医療センター), 野口 謙治(国立病院機構 仙台医療センター), 真野 浩(国立病院機構 仙台医療センター), 鵜飼 克明(国立病院機構 仙台医療センター), 田所 慶一(国立病院機構 仙台医療センター)
抄録 【症例】61歳,女性【主訴】なし【既往歴】高血圧【現病歴】もともと近医にてC型肝硬変を外来フォロー中であった.HCV cerotype2型でありインターフェロン治療の方針はあったが,脾腫に伴う血小板減少を認め経過観察となっていた.今回,部分的脾動脈塞栓術(PSE)施行目的に当院紹介.H24年10月17日入院となった.【入院時検査】血液検査値は,WBC 2500/μl,PLT 5.4万/μl, PT 79 %, Alb 3.9 g/dl, T-Bil 0.9 mg/dl, NH3 31μg/dl,腹水(-), 肝性脳症(-), Child-Pugh grade A(5点).内視鏡検査上,食道胃静脈瘤は認めず.また,腹部CTでは,肝内にSOLを認めないが, 肝左葉の腫大と脾腫を認めた.【経過】H24年10月18日PSE施行.脾内動脈にステロイド先行注入後,2mmゼラチン粒を用い,脾上極-背側を除いた広範囲を塞栓した.1週間後の治療効果判定のCTでは,脾梗塞範囲は8割を越えており,脾内にガス像や膿瘍,門脈系血栓の出現を認めなかった.また,術前に5.4万/μlであった血小板は術後4日で8.9万/μl,術後1週で13.0万/μl,術後2週で16.8万/μlまで増加した.術後は発熱や左側腹部痛を認めたが,症状は軽微でNSAID頓服でコントロール可能であった.術後16日に退院.今後は紹介医のもとでインターフェロン,リバビリン併用療法を開始する予定である.【考察】今日,肝硬変に対するインターフェロン治療の需要が高まっているが, 血小板減少患者においては先行治療として脾摘やPSEが必要となる.PSEは安全に施行できる低侵襲の手技であり,効果が期待通りでさえあれば今後更なる症例の増加が期待される. 当科において,過去5年間に血小板増多目的でPSEを施行した自験例6症例を加えた検討でも,血小板数の有意な増加結果が得られた(術前7.3±1.0万/術後2週14.7±1.8万,p<0.05).【結語】今回PSEにより良好な成績を得られた症例を経験したので,過去の自験例の検討を加え報告する.
索引用語 部分的脾動脈塞栓術, 肝硬変