セッション情報 一般演題

タイトル O-107:

直腸癌原発の播種性骨髄癌症の一例

演者 山本 一成(盛岡赤十字病院 消化器科)
共同演者 赤坂 理三郎(盛岡赤十字病院 消化器科), 菊池 公二(盛岡赤十字病院 消化器科), 鎌田 豪(盛岡赤十字病院 消化器科), 藤原 隆雄(盛岡赤十字病院 消化器科), 小坂 崇(岩手医科大学 医学部 消化器・肝臓内科分野)
抄録 【症例】79歳男性【主訴】血便【現病歴】平成24年5月頃から腹部の張りを自覚。左胸部痛・腰痛もあり、次第に下痢も認めるようになった。7月20日頃から血便も伴うようになり8月7日当科初診。食欲低下もあり最近1年で7~8kgの体重減少を認めた。採血の結果、播種性血管内凝固にあり精査加療目的に入院となった。【既往歴】特記事項なし【生活社会歴】農業【家族歴】父:胃癌 弟:食道癌【主な入院時現症】BP137/79 HR82 BT37.8℃ 意識清明、眼瞼結膜:貧血なし、腹部:臍周囲に手拳大の硬く可動性不良な腫瘤を触知、圧痛なし【入院後経過】平成24年8月7日消化管腫瘍疑い、播種性血管内凝固(disseminated intravascular coagulation;DIC)で精査加療目的に当科入院。絶食補液、ガベキサートメシル塩酸、トロンボモジュリンアルファによる抗DIC療法、抗生剤FMOX点滴治療開始。入院第2病日にSF施行したところ直腸Rsにほぼ全周性にBorrman2型の腫瘤あり。病理診断はGroup5,tub1であった。胸部~骨盤部CTで直腸癌リンパ節転移の診断。入院第3病日から貧血の進行あり輸血開始。入院第4病日からダルテパリンナトリウム点滴開始。頻回の輸血にも関わらず貧血の進行あり、DIC改善傾向みられず。入院第7病日MRIで多発骨転移疑いの指摘あり。腰痛の訴え強くモルヒネ投与開始。入院第10病日骨シンチ施行。多発骨転移の所見あり。DIC改善なく全身状態も悪化。入院第13病日から不穏が出現。入院第16病日の時点では呼びかけに反応あるも意識朦朧とした状態であった。疼痛強く体動も増加。入院第18病日心拍数、血圧徐々に低下。午前9時10分死亡確認。【結語】播種性骨髄癌症とは、固形癌が骨髄に浸潤しDICや溶血性貧血を合併する極めて予後不良な疾患である。確定診断には骨髄穿刺や生検が必須とされているが、DICを合併している場合には臨床症状や画像検査から診断されることもある。確立された治療法はないが、化学療法が効果的であったとする報告もみられる。原発巣としては胃癌が圧倒的に多い。今回極めて稀である直腸癌を原発とする播種性骨髄癌症の1例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 直腸癌, 播種性骨髄癌症