セッション情報 一般演題

タイトル O-55:

ワルファリン内服中に発症し重症度の評価が困難であった急性発症型自己免疫性肝炎の1例

演者 高橋 貴一(みやぎ県南中核病院 消化器内科)
共同演者 大沼  勝(みやぎ県南中核病院 消化器内科), 藤阪 泰之(みやぎ県南中核病院 消化器内科), 洞口 愛(みやぎ県南中核病院 消化器内科), 阿曽沼 祥(みやぎ県南中核病院 消化器内科), 梅村 賢(みやぎ県南中核病院 消化器内科), 飯岡 佳彦(みやぎ県南中核病院 消化器内科), 三浦 雅人(みやぎ県南中核病院 消化器内科)
抄録 【症例】65歳、男性【主訴】黄疸、全身倦怠感【既往歴】輸血歴なし。渡航歴なし。機会飲酒のみ(59歳で禁酒)。【現病歴】2012年7月急性心筋梗塞にて加療後、ワルファリン、アスピリン、クロピドブレルを内服開始。2012年9月16日より全身倦怠感、黄疸出現し当院受診。血液検査ではT-Bil 16.7mg/dl,AST 1313U/L,ALT 953U/L,ALP 401U/L,PT 2.7%,IgM-HA Ab(-),HBsAg(-),IgM-HBc Ab(-),HCV Ab(-),IgA-HEV Ab(-),IgM-EB VCA Ab(-),IgM-CMV Ab(-),IgG 2111mg/dl,抗核抗体40倍であったが、内服歴と高齢男性であることから薬剤性肝障害を疑い精査加療目的に当科入院。ワルファリン内服中で急性肝炎の重症度評価が困難であったが、腹部CTでは肝臓全体が著明に萎縮していたため重症と判断した。さらに出血などの合併症が予想され、入院時よりFFPの投与を行いながらSNMCの投与とステロイドパルス療法を開始。PT 70%超えた第27病日肝生検を施行したが、激しい炎症後の回復期の像を呈し、門脈域には今回の炎症の跡と考えられる比較的新しい線維化があり、偽胆管が増生し、さらにロゼット形成や巨細胞がみられ病理組織学的に自己免疫性肝炎と診断した。その後PSLを漸減し、第43病日の採血でT-Bil 3.4mg/dl,AST 36U/L,ALT 40U/L,PT 94%と肝機能改善し、PSL10mgで退院となった。【考察】現在、高齢者が心房細動などでワルファリンを服用する機会が増えており、今後もワルファリン内服中に急性肝炎を発症する症例が増えると考えられる。重症化する急性肝炎を早期に診断するためには、PTによる経過観察が重要であるが、ワルファリン内服中であると正確な重症度判定が困難になる。自験例のようにCTなどで重症化を疑う所見があれば、肝炎ウイルスマーカー、自己抗体などを検索しつつ早期よりステロイド治療を開始し、PTの回復をまって可能な限り早期に肝生検を行い診断をつけることが必要であると考える。
索引用語 自己免疫性肝炎, ワルファリン