セッション情報 一般演題

タイトル O-82:

血中IgG4値正常でステロイド効果を認めた自己免疫性膵炎

演者 小松 恒太郎(岩手県立中央病院 内視鏡科)
共同演者 村上 晶彦(岩手県立中央病院 内視鏡科), 天野 良彦(岩手県立中央病院 内視鏡科), 三浦 真奈美(岩手県立中央病院 内視鏡科), 松本 信(岩手県立中央病院 内視鏡科), 池端 敦(岩手県立中央病院 消化器科), 城戸 治(岩手県立中央病院 消化器科), 小原 範之(岩手県立中央病院 消化器科), 金澤 義丈(岩手県立中央病院 消化器科), 高橋 太郎(岩手県立中央病院 消化器科), 高橋 健一(岩手県立中央病院 消化器科), 大方 英樹(岩手県立中央病院 消化器科), 横山 直信(岩手県立中央病院 消化器科), 佐熊 勉(岩手県立中央病院 病理診断センター), 小野 貞英(岩手県立中央病院 病理診断センター)
抄録 【背景】自己免疫性膵炎(AIP)は2010年に国際膵臓病学会で国際コンセンサス診断基準(IDCP)が提唱され、1型AIPと2型AIPの亜分類がなされた。日本では、閉塞性黄疸や腫瘤を認め、急性膵炎様で発症し、再燃は稀で、病理組織学的に膵管上皮の破壊像があり、炎症性腸疾患を伴う2型AIPは極めて稀であり、血中IgG4値の高値で閉塞性静脈炎を特徴とする1型AIPと分類される。今回血中IgG4値正常でステロイド効果を認める症例を経験し2型の可能性あるため報告する。【症例】60歳代女性。既往歴は50歳代に糖尿病、高血圧。上腹部不快感、吐気にて近医受診し、CTで胆管拡張と肝機能障害、膵頭部腫瘤あり。ERCPで膵頭部での膵管狭窄あり。膵管ブラシ細胞診で疑陽性であった。膵頭部腫瘍で当科紹介となる。【経過】入院時検査では、腫瘍マーカーはCEA、CA19-9は正常値。抗核抗体<20倍、γグロブリン 1.3g/dl、血中IgG4 64.9mg/dlであり、3週後も72.3と正常値であった。内視鏡検査で膵頭部腫瘤疑いであり、EUS-FNABと乳頭部から生検を施行した。MRCPでは胆管拡張軽度あり。CTではリンパ節の腫大なく、初回から3週間後に再度ERCPをしたが膵管狭窄は変わらず、診断基準の膵管像レベル1であり、USCTで膵実質画像はレベル2であった。上部・下部消化管内視鏡検査では異常はなかった。経時的膵液細胞診も陰性であった。EUS-FNABでリンパ球と形質細胞浸潤と少数のIgG4陽性細胞浸潤があり自己免疫性膵炎を考えた。PET検査でも異常集積はなく、ステロイド30mg/日から使用し漸減した。その後肝機能は正常値となり自覚症状も消失。現在ステロイド治療で4週目であり、慎重に経過みている。糖尿病は増悪せず、また画像の経過でも、膵腫瘍は認めていない。【考案】2011年の自己免疫膵炎診断基準では限局性膵腫大、主膵管の不整狭窄とステロイド治療の効果で疑診にあたり、IgG4関連包括診断基準では満たしていない。【結論】急性膵炎様で発症した、血中IgG4値正常でステロイド効果を認めた2型AIPと考えられる症例を経験した。血中IgG4値正常の1型AIPと鑑別困難である。
索引用語 IgG4関連, 自己免疫性膵炎