セッション情報 一般演題

タイトル O-53:

やせたNASH進行症例にPioglitazone治療が奏功した1例

演者 江口 久美子(いわき市立総合磐城共立病院)
共同演者 駒澤 大輔(いわき市立総合磐城共立病院), 渡部 敬之(いわき市立総合磐城共立病院), 近藤 穣(いわき市立総合磐城共立病院), 伊藤 広通(いわき市立総合磐城共立病院), 土佐 正規(いわき市立総合磐城共立病院), 大楽 尚弘(いわき市立総合磐城共立病院), 上野 孝治(いわき市立総合磐城共立病院), 池田 智之(いわき市立総合磐城共立病院), 池谷 伸一(いわき市立総合磐城共立病院), 中山 晴夫(いわき市立総合磐城共立病院), 樋渡 信夫(いわき市立総合磐城共立病院)
抄録 最近,NASHの発症・進展に各種遺伝子多型が報告されている.インスリン抵抗性,糖尿病,脂肪肝を呈する脂肪萎縮症においても近年原因遺伝子の解明がすすみ,遺伝子異常によって表現型が異なることがわかってきた.しかし, BMI 23未満の非肥満者でも2.7%に脂肪肝を認め,その病態や治療法に関してまだ全体像は明確ではない.今回,BMI 16のやせた単純性脂肪肝患者が19年後に進行したNASHとなり,Pioglitazone治療により2年後に組織学的にも改善した1例を経験したので報告する.【症例】46歳女性.【既往歴】27歳当院の肝生検で単純性脂肪肝,44歳より高血圧,高脂血症で近医治療.【家族歴】両親,妹1人,子供1人に特記すること無し.【現病歴】生下時より痩せており27歳より肝機能異常指摘される.体重は35-6kg前後で変化なかった.スタチン治療でも肝機能改善せず当院紹介となる.職業は保育士で飲酒歴,拒食症の既往はなし.【現症】身長151cm,体重36kg,BMI 15.8,腹囲70cmと体幹部に比較し顔面,四肢に皮下脂肪なく痩せていた.【経過】入院時検査:AST 225 IU/l, ALT 206 IU/l,γ-GTP 174 IU/l, TG 96 mg/dl, T-cho 189 mg/dl, BS 95 mg/dl,HbA1c 5.6%,各種ホルモン検査正常,Leptin は11.9 ng/dlと正常,糖負荷試験で糖尿病型,IRIは著明な遅延過剰反応を呈した.肝組織は,Brunt分類(stage3, Grade2)へと進行していた.Pioglitazone治療開始すると,体重は1.5kg増加したが肝機能は正常化した.2年後の肝生検では肝線維化も著明に改善し,NAFLD activity score 6点→3点に改善した.糖負荷試験も境界型となりIRIも改善した.腹部CTでは内臓/皮下脂肪面積が改善した.【結語】やせた脂肪肝の中に長期的に進行する例があり注意が必要である.また,こうした症例でもPioglitazone治療により肝組織の改善を認めた.
索引用語 NASH, やせ