セッション情報 特別企画 後期研修医(卒後3-6年)

タイトル W-18:

IgG4陰性自己免疫性膵炎の1例

演者 中野 絵里子(東北大学病院 消化器内科)
共同演者 菅野 敦(東北大学病院 消化器内科), 滝川 哲也(東北大学病院 消化器内科), 三浦 晋(東北大学病院 消化器内科), 有賀 啓之(東北大学病院 消化器内科), 海野 純(東北大学病院 消化器内科), 濱田 晋(東北大学病院 消化器内科), 粂 潔(東北大学病院 消化器内科), 菊田 和宏(東北大学病院 消化器内科), 廣田 衛久(東北大学病院 消化器内科), 正宗 淳(東北大学病院 消化器内科), 下瀬川 徹(東北大学病院 消化器内科)
抄録 【症例】50歳,男性.【主訴】肝障害及び膵頭部腫大精査.【現病歴】高血圧で近医通院中,高蛋白血症を認め当院血液内科に紹介された.精査中,PET-CTにて膵臓,両側涙腺,顎下腺,耳下腺,肺門部リンパ節,腎臓に集積を認めた.膵腫大の精査目的に当科を紹介された.【検査結果】血液検査:肝障害と著明な高IgG血症(IgG 6662mg/dl)を認めたが,IgG4 は78.2mg/dlと低値であった.CT:膵頭部の限局性腫大を認め,体尾部主膵管の軽度拡張,及び総胆管の壁肥厚を認めた.MRCP:膵頭部主膵管は不明瞭で狭細が疑われた.FDG-PET:膵臓,両側涙腺,耳下腺,顎下腺,肺門部リンパ節,腎臓にFDGの集積を認めた.EUS:膵頭部は腫大し,びまん性の胆管壁肥厚を認めた.ERCP:乳頭部は腫大していた.膵管造影では膵頭部主膵管の狭細像を認め,尾側膵管は軽度拡張していた.下部胆管は軽度狭細し, IDUSではびまん性の胆管壁肥厚を認めた. EUS-FNA:膵頭部よりFNAを施行したところ,病理組織学的に著明なリンパ球形質細胞浸潤を認めたが,IgG4陽性形質細胞は認めなかった.経過中,間質性腎炎による腎機能障害が悪化したためステロイドの投与を開始したところ,腎機能,膵腫大,その他の膵外病変の改善を認めた.画像所見,膵外病変及びステロイドの反応性をあわせて自己免疫性膵炎(AIP)と診断した.【結語】AIPの診断上,血清IgG4高値,病理組織におけるIgG4陽性形質細胞浸潤は重要である.今回,膵腫大,膵管狭細,膵外病変など典型的なAIPの臨床像を呈したにも関わらず,血清IgG4高値及び病理組織学的にIgG4陽性形質細胞を認めないAIPの一例を経験した.IgG4とAIPの臨床像の関連を考察する上で重要な症例と考えられた.
索引用語 自己免疫性膵炎, IgG4陰性