共同演者 |
高橋 広喜(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 菊池 弘樹(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 吉田 はるか(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 宍倉 かおり(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 杉村 美華子(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 阿子島 裕倫(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 野口 謙治(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 木村 憲治(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 田邊 暢一(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 岩渕 正広(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 真野 浩(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 鵜飼 克明(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 田所 慶一(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 湯目 玄(国立病院機構 仙台医療センター 外科), 斎藤 俊博(国立病院機構 仙台医療センター 外科), 鈴木 博義(国立病院機構 仙台医療センター 臨床検査科), 森 芳正(森消化器内科外科) |
抄録 |
【症例】35歳, 男性. 2012年4月下旬より血便を認め近医を受診した. 下部消化管内視鏡検査にて, 下部直腸に15mm大の隆起性病変を認め, 生検の結果, 神経内分泌腫瘍(CKAE1/AE3(+), CAM5.2(+), ChromograninA(+), CD56(+), Vimentin(+), LCA(-), S100(-))と診断され精査加療目的に当科へ紹介となった. 血液検査所見では貧血なく腫瘍マーカーCEA, CA19-9などは正常範囲内であった. 下部消化管内視鏡検査では肛門縁より5cmの直腸に15mm大の隆起性病変を認め, 表面は赤色調で頂部にびらんを伴っていた. EUSにて腫瘍は第2層に主座を置くが第3層の菲薄化と一部途絶がありsm浸潤が疑われた. 腹部骨盤部CT検査では肝転移や明らかなリンパ節転移は指摘できなかった. 6月上旬に低位前方切除術およびリンパ節D2郭清と回腸双孔式人工肛門造設術を施行した. 腫瘍は切片上で12mm大の0-I病変であり, 病理組織学的検査ではneuroendocrine carcinoma, sm, ly1, v0, n1, stageIIIbであった. なお, MIB-1陽性率は5%程度であった. 術後順調に経過し退院となった. 切除5か月後のCTでは明らかな局所再発や肝転移は認めず現在外来にて経過観察中である. 【考察】 直腸の神経内分泌細胞癌は比較的まれな腫瘍で, 早期より血行性, リンパ行性転移をきたす悪性度の高い腫瘍であり, 報告例の半数以上において術後1年以内に死亡している予後不良な疾患である. 【結語】今回われわれは直腸に比較的小さな神経内分泌細胞癌の1切除例を経験したので若干の文献的検討を加え報告する. |