共同演者 |
遠藤 克哉(東北大学大学院 消化器病態学分野DELIMITER東北大学高等教育開発推進センター), 只野 敏浩(東北大学大学院 消化器病態学分野), 川上 瑶子(東北大学大学院 消化器病態学分野), 奈良 志博(東北大学大学院 消化器病態学分野), 松下 勝則(東北大学大学院 消化器病態学分野), 宮澤 輝子(東北大学大学院 消化器病態学分野), 下平 陽介(東北大学大学院 消化器病態学分野), 長澤 仁嗣(東北大学大学院 消化器病態学分野), 志賀 永嗣(東北大学大学院 消化器病態学分野), 根来 健一(東北大学大学院 消化器病態学分野), 相原 裕之(東北大学大学院 消化器病態学分野), 高橋 成一(東北大学大学院 消化器病態学分野), 木内 喜孝(東北大学大学院 消化器病態学分野DELIMITER東北大学高等教育開発推進センター), 下瀬川 徹(東北大学大学院 消化器病態学分野) |
抄録 |
【症例】77歳女性【主訴】便秘【既往歴】40歳 子宮筋腫摘出術、70歳 両下肢静脈瘤手術【現病歴】膵IPMNで当科フォロー中、便秘の訴えがあったため、大腸内視鏡検査を施行したところ、上行結腸肝湾曲付近に病変を認めた。【検査所見】血液生化学検査:腫瘍マーカー含め、異常所見無し。通常内視鏡検査:上行結腸に径20mm程度の隆起性病変を認めた。病変基部は正常粘膜に覆われ、比較的なだらかに立ち上がっており、粘膜下腫瘍の形態を呈していたが、病変頂部には上皮性腫瘍を疑う絨毛様の変化がみられ、同部位は粘液が非常に豊富であった。なお、病変は比較的硬く空気変形に乏しかった。NBI拡大観察:病変頂部周囲のCapillary patternは佐野分類でtypeIIIAを呈していた。色素散布拡大観察:粘液が多いため染色性が低下しており、詳細な観察は困難であったが、観察できる部分はVI軽度不整の所見であった。EUS:第3層を首座とし、低エコー、高エコーが混在する液体成分の貯留を示唆する所見を認め、一部第4層への浸潤が疑われた。注腸造影検査:弧状変形を呈していた。【臨床経過】頂部からの生検ではGroup 4であったが、上記検査結果より大腸粘液癌の可能性を考え、腹腔鏡補助下右結腸切除術を施行した。病理所見: Adenocarcinoma(tub1+tub2>muc), pMP, int, INFb, ly0, v1, pPM0, pDM0, pRM0, cM0, stageI.であった。粘膜下に粘液塊を認め、異型細胞が粘液塊内に集塊を形成しながら浮遊している所見が確認された。粘液塊は固有筋層を圧排し一部浸潤していた。【考察】比較的小型で粘膜下腫瘍様の形態を呈した進行大腸粘液癌を経験した。大腸粘液癌は全大腸癌の4~7%程度とされており、進行癌で見つかることが多い。進行癌で発見される場合、肉眼型は潰瘍限局型が多く、本症例のように粘膜下腫瘍様の形態で発見されることは稀である。若干の文献的考察を加えて報告する。 |