セッション情報 一般演題

タイトル O-02:

不全型CREST症候群に伴う慢性偽性腸閉塞症の1例

演者 根本 大樹(福島県立医科大学会津医療センター準備室 小腸大腸肛門科)
共同演者 五十畑 則之(福島県立医科大学会津医療センター準備室 小腸大腸肛門科), 遠藤 俊吾(福島県立医科大学会津医療センター準備室 小腸大腸肛門科), 冨樫 一智(福島県立医科大学会津医療センター準備室 小腸大腸肛門科)
抄録 慢性偽性腸閉塞は、腸管運動が障害されることにより、機械的な閉塞機転がないが、腹部膨満、腹痛、嘔吐などの腸閉塞症状を引き起こす難治性疾患である。われわれは、不全型CREST症候群に伴う慢性偽性腸閉塞症の1例を経験したので、文献的考察を加えて報告する。
症例は、50代、女性。開腹歴なし。1年前から食事摂取後に胸焼けや腹痛が出現し、時に嘔吐することもあった。2ヶ月前から下肢の浮腫が出現し、次第に増悪してきたため当院を受診した。初診時の一般血液生化学的検査では、低アルブミン血症(3.4g/dL)を認める他、異常はなかった。腹部単純X線検査では、著明な小腸ガス像・鏡面像が認められた。腹部CT検査では、広範に拡張した小腸と腹水貯留を認め、上部小腸で壁肥厚を認めたため、同部位での腸閉塞が疑われた。経口的ダブルバルーン小腸鏡検査・内視鏡先端からの深部小腸造影検査・大腸鏡検査で小腸・大腸を検索したが、機械的閉塞はなく、軽度の小腸拡張を認めるのみであった。なお、小腸と胃で採取された生検組織でアミロイドの沈着は認められなかった。保存的治療により腸閉塞症状が軽減するも、再燃を繰り返すため、慢性偽性腸閉塞が疑われた。その後の精密検査で、抗核抗体強陽性(640倍、正常40倍未満)と抗セントロメア抗体陽性(16.4、正常10.0以下)であり、臨床所見として、顔・下肢の毛細血管拡張およびRaynaud現象が確認されたため、不全型CREST症候群に伴う続発性慢性偽性腸閉塞と診断した。治療としては、一時的に絶食とし中心静脈栄養を行なった。その後、腸管運動促進剤や緩下剤の内服を開始したが、腹部症状が改善しないため、内服薬・容量の調整を行なった。現在、ポリカルボフィルカルシウムを中心とした薬物治療により、常食が摂取可能な状態を維持し、外来通院中である。
索引用語 慢性偽性腸閉塞, CREST症候群