セッション情報 一般演題

タイトル O-91:

分枝型IPMN経過観察症例における悪性予測因子の同定と癌化高リスク群の設定

演者 越田 真介(仙台市医療センター 仙台オープン病院 消化器内科)
共同演者 藤田 直孝(仙台市医療センター 仙台オープン病院 消化器内科), 野田 裕(仙台市医療センター 仙台オープン病院 消化器内科), 小林 剛(仙台市医療センター 仙台オープン病院 消化器内科), 伊藤 啓(仙台市医療センター 仙台オープン病院 消化器内科), 洞口 淳(仙台市医療センター 仙台オープン病院 消化器内科), 橋元 慎一(仙台市医療センター 仙台オープン病院 消化器内科), 菅野 良秀(仙台市医療センター 仙台オープン病院 消化器内科), 小川 貴央(仙台市医療センター 仙台オープン病院 消化器内科), 枡 かおり(仙台市医療センター 仙台オープン病院 消化器内科)
抄録 目的:分枝型IPMN経過観察例における由来癌(由来浸潤癌+上皮内癌)と併存癌の癌化危険因子を同定し、その高リスク群を設定する。対象:当施設でIPMNと診断した636例のうち、画像的に分枝型IPMNと診断して6ヵ月以上経過観察した371例。方法:対象を由来癌と併存癌別に、悪性の候補因子(年齢、性、初診嚢胞径、嚢胞径変化率、初診時壁在結節、壁在結節高変化率、初診主膵管径、主膵管径変化率、多発、隔壁肥厚様所見)の中から単変量、多変量解析を用いて悪性予測因子を同定する。また、これを用いて癌化リスク別に群別化し、その累積癌化率を推定する。結果:対象の平均初診時年齢66.2±9.7歳、観察期間中央値3.2年(0.5-21.9年)であった。画像所見は、初診嚢胞径は平均20.7±11.3 mm (30mm以上: 21.6%)、年率嚢胞径変化は0.89±1.68mm/year、初診時壁在結節有り7.8%、年率壁在結節高変化は0.13±0.63mm/year、初診時主膵管径は平均3.0±1.3mm、年率主膵管径変化は0.11±0.29mm/year、隔壁肥厚様所見9.2%、多発47.7%であった。対象の癌化は、由来浸潤癌9例(2.4%)、由来癌14例(3.8%)、併存癌7例(1.9%)であった。癌化危険因子の同定のため、由来癌、併存癌別に候補10因子について単変量・多変量解析を行った。由来癌は、A初診時嚢胞径≧30mm(p=0.001, OR: 15.6, 95%CI: 3.1-77.6)、B年率壁在結節高変化1mm/year以上(p<0.001, OR: 27.4, 95%CI: 6.8-110.1)の2因子が由来癌危険因子として抽出され、初診時のAの因子用いて、高リスク群(A陽性)、低リスク群(A陰性)に分類した。5年と10年累積由来癌発症率は、高リスク群でそれぞれ16.6%、26.6%、低リスク群でそれぞれ0.7%、1.7%であった。一方、併存癌について単変量解析で有意であったのは多発(p=0.005)のみで、多発例の5年と10年累積併存癌発症率はいずれも7.0%であった。結語:初診時嚢胞径30mm以上は由来癌の高リスク群であり、経過中に年率壁在結節高変化1mm/year以上示す症例も同様に高リスク群である。一方、併存癌については多発例が高リスク群であり、IPMNの程度に関わらず注意が必要である。
索引用語 分枝型IPMN, 経過観察