セッション情報 一般演題

タイトル O-103:

肺癌の小腸転移に対して手術を施行した2例

演者 玉渕 泰史(東北労災病院 胃腸科)
共同演者 高橋 麗子(東北労災病院 胃腸科), 楠瀬 寛顕(東北労災病院 胃腸科), 仲程 純(東北労災病院 胃腸科), 半田 朋子(東北労災病院 胃腸科), 斉藤 晃弘(東北労災病院 胃腸科), 斉藤 大輔(東北労災病院 胃腸科), 北川 靖(東北労災病院 胃腸科), 小島 康弘(東北労災病院 胃腸科), 前川 浩樹(東北労災病院 胃腸科), 浜田 史朗(東北労災病院 胃腸科), 大原 秀一(東北労災病院 胃腸科), 武藤 満完(東北労災病院 外科), 徳村 弘実(東北労災病院 外科), 片倉 俊樹(片倉胃腸科内科医院)
抄録 転移性小腸腫瘍は確定診断の困難さなどもあり、比較的稀と考えられているが、今回肺癌の小腸転移の2例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する。【症例1】78歳男性【主訴】タール便【現病歴】平成24年7月タール便が出現し、精査目的に当院紹介となった。【経過】上下部内視鏡では異常を認めず、腹部エコー、CTにて腹腔内に約7cmの腫瘤を認めタール便の原因と考えられた。また、胸部CTにて左下肺野に3cm大の腫瘤影を認め、気管支鏡による生検・擦過細胞診にて肺腺癌と診断され、さらに頭部MRIにて8mm大の転移性腫瘍を認めた。以上の結果より肺癌の小腸転移、脳転移が疑われ、転移性脳腫瘍に対しγナイフ施行。その後化学療法を予定していたが、黒色便と貧血の進行を認めたため、小腸腫瘍に対し外科手術を施行した。病理の結果、肺からの病理組織像と近似しており、肺癌の小腸転移と診断した。【症例2】92歳女性【主訴】腹痛【現病歴】平成24年7月腹痛を主訴に搬送となり、炎症反応の上昇と腹部CTにて便塊と直腸の炎症を認め入院。抗生剤投与と便通コントロールにて炎症反応は改善しないものの、腹痛は改善したため退院したが、4日後に再度腹痛の訴えあり再入院となる。【経過】CTにて上行結腸~横行結腸内に小腸腫瘍が先進部となった腸重積所見を認め、ガストログラフィンにて注腸造影し整復を行った。後日行った下部内視鏡検査にて、腫瘍が先進部となっている像を認め生検したが、壊死組織のみであった。その他CTにて、左上肺野に3cmの腫瘤と右副腎に4cmの腫瘤を認めた。以上の結果より肺癌の右副腎転移、小腸転移と診断した。小腸転移に関して腸重積を起こしており、姑息的に小腸部分切除を施行した。切除標本には3.5cm大の腫瘤の他、小腫瘤を3個認めた。病理ではいずれの腫瘤も、肺大細胞癌の転移と考えられた。【考察】肺癌の小腸転移の頻度は剖検例にて3~10%と報告されている。自覚症状出現後の予後は非常に悪いとされているが、QOLの改善目的に手術を行うことに意義はあると考えられる。今回の症例は小腸転移に対して手術を施行し、良好な経過をたどることができた。
索引用語 転移性小腸腫瘍, 肺癌の小腸転移