セッション情報 一般演題

タイトル O-57:

重症肝障害を合併した薬剤過敏性症候群の1例

演者 佐藤 雄紀(独立行政法人 労働者健康福祉機構 福島労災病院)
共同演者 藁谷 雄一(福島県立医科大学付属病院), 林 学(独立行政法人 労働者健康福祉機構 福島労災病院), 松橋 暢生(独立行政法人 労働者健康福祉機構 福島労災病院), 市井 統(独立行政法人 労働者健康福祉機構 福島労災病院), 田井 真弓(独立行政法人 労働者健康福祉機構 福島労災病院), 鈴木 智浩(独立行政法人 労働者健康福祉機構 福島労災病院), 江尻 豊(独立行政法人 労働者健康福祉機構 福島労災病院)
抄録 【症例】51歳、男性【主訴】 発熱、咽頭痛、皮疹【既往歴】13歳、虫垂炎手術【生活歴】喫煙あり、飲酒あり【現病歴】 2011年4月9日にけいれん発作にてA病院へ搬送され、抗てんかん薬(フェニトイン、バルプロ酸Na)を投与された。その後B病院で投与を継続されたが、5月13日全身に発疹が出現し、抗てんかん薬を自己中止してC皮膚科で受診。抗アレルギー薬を投与された。5月16日感冒様症状にてD病院で受診。抗生剤等を投与されたが、発疹は増悪し、発熱が続き、5月19日の血液検査で高度の肝障害を指摘され当科紹介された。【入院時現症】体温39.1℃、顔面・体幹・四肢に多発する点状小丘疹を認め、融合し、紅皮症様。頸部リンパ節腫脹触知。
【入院時検査成績】WBC 27,500 /mm3 (Neu 50.8 %, Ly 27.0 %, Mo 3.0 %, Eo 17.0 %, Ba 2.2 %,A-Lym 3.0 %), PT 50.5 %, TB 6.15 mg/dl, DB 4.91 mg/dl, AST 1024 IU/L, ALT 1103 IU/L, LDH 1278 IU/L, ALP 1105 IU/L, γ-GTP 745 IU/L, CRP 7.37 mg/dl, IgG 626 mg/dl, ANA<40, CMV IgM (-), CMV IgG×40, EBV VCA IgG×40, EBV VCA IgM<10, EBV-EBNA×10, IgM-HA (-), HBs-Ag (-), HCV-Ab(-), HEV-RNA 100未満, 麻疹IgG 10.8, 麻疹IgM(±), 風疹IgG 9.8, 風疹IgM(-), HSV-IgG(-), HSV-IgM(-), HHV-6 IgG 20倍, HHV-6 IgM<10倍
【画像所見】US,CT:胸腹水、肝脾腫、腹部リンパ節腫脹、胆嚢壁肥厚
【経過】高度肝障害と全身発疹、頚部リンパ節腫脹を認め、臨床経過からフェニトインによる薬剤過敏性症候群(DIHS)を疑いステロイド治療を開始した。mPSL 250 mg/日を3日間投与し、肝障害及び皮疹の改善を認めた。その後、PSL 60 mg/日の内服とし、再燃徴候のないことを確認しながら漸減した。6月3日の血液検査でHHV-6 IgG が640倍と高力価を呈し、典型DIHSと診断した。外来でPSLを漸減、中止し再燃なく経過している。
【結語】重症肝障害を合併したDIHSの一例を経験した。本症例のように重症化することがあるため、早期診断、早期治療が重要である。特定の薬剤を原因とするため、初診時の入念な病歴の聴取が診断に重要である。
索引用語 薬剤過敏性症候群, フェニトイン