セッション情報 一般演題

タイトル O-39:

症状緩和目的に姑息的EMRを行い断端陽性であったが自然消褪した食道原発の悪性黒色腫の1例

演者 田中 恵(仙台市医療センター仙台オープン病院 消化器内科)
共同演者 平澤 大(仙台市医療センター仙台オープン病院 消化器内科), 尾花 貴志(仙台市医療センター仙台オープン病院 消化器内科), 菅原 俊樹(仙台市医療センター仙台オープン病院 消化器内科), 大平 哲也(仙台市医療センター仙台オープン病院 消化器内科), 原田 喜博(仙台市医療センター仙台オープン病院 消化器内科), 前田 有紀(仙台市医療センター仙台オープン病院 消化器内科), 小池 良樹(仙台市医療センター仙台オープン病院 消化器内科), 鈴木 憲次郎(仙台市医療センター仙台オープン病院 消化器内科), 山形 拓(仙台市医療センター仙台オープン病院 消化器内科), 日下 順(仙台市医療センター仙台オープン病院 消化器内科), 野田 裕(仙台市医療センター仙台オープン病院 消化器内科), 藤田 直孝(仙台市医療センター仙台オープン病院 消化器内科), 澤井 高志(岩手医科大学 病理学講座 先進機能病理学分野)
抄録 【症例】79歳女性【主訴】胸部つかえ感【既往歴】19歳 虫垂切除術 40歳 子宮筋腫核出術 72歳よりParkinson病 53歳 横行結腸癌で横行結腸部分切除術 75歳 横行結腸癌で右半結腸切除術【現症】特記事項なし【現病歴】2007.12のEGDで切歯から25cmの胸部上部食道左壁に類円形で黒色の最大10mm径の色素沈着を複数認めた。生検診断はメラノーシスで経過観察となった。2008.2のEGDで変化はなかったが、2008.10には約10mm大の隆起性病変であった。血清5-S-CDが29.5 nmol/L(基準値 1.5~8.0 nmol/L)と高値を示し、内視鏡所見とあわせて悪性黒色腫と診断した。PET-CT検査で縦隔内リンパ節へのFDG集積を認めた。無症状で本人に積極的治療の希望なく、経過観察の方針とした。2009.1のEGDで亜有茎性病変に形態変化し大きさも増大を認め、同時期より嚥下時のつかえ感が出現した。固形物の摂取が困難となり、十分なICを取得しvolume reduction目的のEMRを行った。【治療】病変は食道内腔を占拠し、全体像の把握は困難であった。隆起部は黒色調で、基部周囲粘膜にも黒色の色素沈着を認めた。可動性は良好で内視鏡の通過は可能であった。隆起部分のみを3分割で切除、治療後偶発症なく嚥下時のつかえ感も消失し、第6病日に退院した。病理組織結果は、全体で80mm大で、Malignant melanoma、切除断端は陽性であった。【退院後経過】切除後15か月のEGDでは食道のEMR後瘢痕にわずかな色素沈着を認めるのみで、切除後20か月のEGDでは消褪していた。症状の再燃もなかった。切除後23か月のPET-CTではリンパ節の腫大は指摘できなかった。【まとめ】食道原発の悪性黒色腫による食道狭窄症状に対して姑息的EMRを行い、自然消褪した1例を経験した。貴重な症例と考え、文献的考察を加え報告する。
索引用語 食道原発悪性黒色腫, 自然消褪