セッション情報 シンポジウム「B型肝炎治療の工夫」

タイトル S-02:

栗原中央病院のB型慢性肝炎に対する治療の検討

演者 木田 真美(栗原中央病院)
共同演者 佐藤 修一(栗原中央病院), 小林 光樹(栗原中央病院)
抄録 【目的】B型慢性肝炎の治療には、核酸類似体が第一選択薬となり広く使われているが、耐性変異型ウイルスへの対処や核酸類似体の安全な中止など課題が残されている。今回核酸類似体の治療をレトロスペクティブに解析した。【方法】対象は栗原中央病院で平成23年4月より平成24年11月まで核酸類似体で治療を受けたB型慢性肝炎45症例で、年齢中央値58歳(31-88歳)で男性33例、女性12例である。治療の内訳はラミブジン1例、ラミブジンとアデフォビル併用8例、エンテカビル36例、エンテカビルとアデフォビル併用2例である。HBe抗原陽性7例、HBe抗体陽性30例、ともに陰性3例、ともに陽性1例であった。統計検定にはPASWStatistics 18を使用した。【成績】1.核酸類似体の中止に関する検討:45例の核酸類似体治療でAST 27.4±9.0IU/L、ALT 25.4±15.1IU/L、血清HBV DNA検出感度以下40例と良好なコントロールが得られた。エンテカビル治療1例、アデフォビルとラミブジンの併用治療1例、ラミブジン治療3例で治療休止が試みられた。全例HBe抗原陰性、核酸類似体治療で1年以上血清HBV DNAが検出感度以下で経過した症例であり、うち1例は終了時にインターフェロンを併用した。全例でHBVが再燃し、再燃までの期間は平均12.4ヶ月(最短3ヶ月、最長40ヶ月)であった。2.アデフォビルとエンテカビル併用治療の検討:アデフォビルとラミブジン併用治療の1例とエンテカビル治療の1例でブレイクスルー肝炎に対してアデフォビルとエンテカビルの併用治療が行われ、併用開始後1ヶ月で血清HBV DNAの低下に伴い、ASTとALTの正常化が見られた。3.高齢B型慢性肝炎症例における核酸類似体治療の検討:70歳以上の高齢者5例(中央値80歳、71-88歳)でエンテカビル治療(4例)、アデフォビルとラミブジン併用治療(1例)が肝硬変4例、抗悪性腫瘍剤治療1例に行われ、全例でHBV DNAが検出感度以下になり安全な治療が可能であった。【結論】ほぼ全症例で血清HBV DNA検出感度以下になり、高齢者でも有効であった。
索引用語 核酸類似体, B型慢性肝炎