セッション情報 一般演題

タイトル O-60:

肝細胞癌の画像パターンを呈した限局性結節性過形成(FNH)の一例

演者 須貝 彩子(公立置賜総合病院 消化器内科 )
共同演者 武田 忠(公立置賜総合病院 消化器内科 ), 小林 敏一(公立置賜総合病院 消化器内科 ), 和田 佳子(公立置賜総合病院 消化器内科 ), 勝見 修一郎(公立置賜総合病院 消化器内科 ), 渡邉 祐介(公立置賜総合病院 消化器内科 ), 堀内 素平(公立置賜総合病院 消化器内科 ), 齋藤 裕之(公立置賜総合病院 消化器内科 ), 赤松 学(公立置賜総合病院 消化器内科 ), 高野 潤(公立置賜総合病院 消化器内科 ), 安藤 嘉章(公立置賜総合病院 消化器内科 ), 大村 清成(公立置賜総合病院 消化器内科 ), 齋藤 孝治(公立置賜総合病院 消化器内科 ), 新澤 陽英(公立置賜総合病院 消化器内科 )
抄録 【症例】76歳、男性【主訴】特になし【既往歴】68歳脊柱管狭窄症,70歳高血圧症,71歳脂肪肝,胆嚢結石症【生活歴】飲酒歴なし、喫煙歴なし【現病歴】平成22年検診で胆嚢結石症を指摘され、前医を受診。腹部USで胆嚢結石、肝S5に13mm、S8に10.8mmの高エコー腫瘤を認め、CT上では血管腫疑いにて経過観察となった。平成24年9月腹部USで肝S8の腫瘤は24×22mmと増大傾向あり、CTにて単純で低吸収、モザイク状濃染、wash outあり、HCCが疑われ、精査加療目的に当科紹介受診、入院となった。【血液検査所見】血小板100 ×103/μl,腫瘍マーカー(CEA,AFP,CA19-9,PIVKA-2)の上昇なし, HBs-Ag(-),HCV抗体(-),Child-Pugh A, Liver damage A【画像所見及び経過】CE-USでは、S8腫瘤は24mm大のモザイクパターンで、血管相で全体に均一な濃染あり、Kupffer相では欠損域と残存域が混在しており、分化度が混在したHCCと考えられた。dynamic CTでは単純相で不均一な低吸収を示し、動脈相で早期濃染し、平衡相でwash outを呈した。EOB-MRIではS8の腫瘤は肝細胞相で低信号、DWIで高信号を呈し、Dynamic studyではCT同様の血流パターンを認めた。画像所見から2cm超の多血性中分化型肝細胞癌が疑われ、肝切除方針となり、当院外科にて肝系統的S8切除術を施行した。【病理所見】腫瘤部はcentral scarを伴い、いくつかの異常血管を認めた。また異形細胞や肝細胞索のみだれは認めなかった。以上よりFNHと診断した。【考察】限局性結節性過形成(focal nodular hyperplasia;FNH)は血管腫についで多い良性肝疾患で、画像的に中心性瘢痕と放射性血管構造を伴うことが特徴である。時として肝細胞癌との鑑別が困難なことがあり、両者の鑑別にはEOB-MRIの肝細胞相で等~高信号やSonazoid USでのspoke-wheel appearanceやKupffer相での等~高エコーが有効な所見と言われている。本症例では、EOB-MRIにて肝細胞相で低信号となり、Sonazoid USにおいてKupffer相で欠損像を示したため、肝細胞癌との鑑別が困難であった。【結語】今回肝細胞癌の画像パターンを呈したFNHの一例を経験したので報告する。
索引用語 FNH, 肝腫瘍