セッション情報 一般演題

タイトル O-48:

B型慢性肝炎に対するペグインターフェロンα2a一年投与の治療経験

演者 石井 里佳(山形大学 医学部 消化器内科)
共同演者 渡辺 久剛(山形大学 医学部 消化器内科), 勝見 智大(山形大学 医学部 消化器内科), 冨田 恭子(山形大学 医学部 消化器内科), 佐藤 智佳子(山形大学 医学部 消化器内科), 奥本 和夫(山形大学 医学部 消化器内科), 西瀬 雄子(山形大学 医学部 消化器内科), 齋藤 貴史(山形大学 医学部 消化器内科), 上野 義之(山形大学 医学部 消化器内科)
抄録 【目的】平成25年度B型慢性肝炎治療ガイドラインの改訂により、B型慢性肝炎に対するHBsAg消失を目指したインターフェロン治療の位置づけがクローズアップされている。そこで、当院においてペグインターフェロンα2aを一年間投与したB型慢性肝炎例について、その臨床経過と治療効果を検討した。【対象と結果】症例1:46歳女性、HBeAg陽性例。これまで無症候性キャリアとして経過観察されていたが、AST、ALTの上昇を認めるようになったため当科紹介となった。AST 54、ALT 77、HBeAg(+)、HBeAb(-)、HBV DNA 7.0 log/ml、HBcrAg >6.8 LogU/ml、HBV genotype Cであった。治療開始とともにAST、ALT、HBeAgの速やかな低下を認めたが、HBV DNAと HBcrAgの低下は緩徐であった。48週後HBeAgのseroconversionは起こらなかったが、肝機能の持続正常を達成できている。症例2:58歳男性、HBeAg陰性例。10年ほど前からB型慢性肝炎に伴う肝機能障害に対し肝庇護療法を行われてきたが、肝機能の改善が得られず当科紹介となった。AST 98、ALT 132、HBeAg(-)、HBeAb(+)、HBV DNA 6.0 log/ml、HBcrAg 4.2 LogU/ml、HBV genotype Bであった。治療に伴いAST、ALT、HBV DNA、HBcrAgの低下を認めた。しかしながら48週投与終了後にHBV DNAの上昇と肝炎の再燃を来たし、entecavirによる追加治療を行ったところ、肝炎の鎮静化とHBV DNAの陰性化を認めた。いずれの症例でも治療中は目立った副作用は見られず、安全に投与できた。【考察と結論】ペグインターフェロンα2aによる抗ウイルス治療は、HBe抗原の有無にかかわらず、ALT値とHBV DNAのコントロールが得られた。しかし投与終了後に肝炎の再燃を来す例があり、そのような症例ではウイルス抗原量の低下が十分ではなかった。ペグインターフェロンα2aによるB型慢性肝炎に対する一年投与は安全かつ有用な治療と考えられるが、HBsAg消失を目指した投与期間の延長やsequential治療との併用など、症例の蓄積による更なる検討も必要と思われた。
索引用語 B型肝炎, ペグインターフェロン