セッション情報 ワークショップ「胆膵疾患診療のup to date」

タイトル WS-04:

当院における胆膵疾患のFDG-PE/CT診断の現状

演者 伊藤 美保(山形大学 第二内科)
共同演者 牧野 直彦(山形大学 第二内科), 戸澤 智浩(山形大学 第二内科), 松田 暁子(山形大学 第二内科), 池田 祐之(山形大学 第二内科), 柿崎 泰明(山形大学 第二内科), 上野 義之(山形大学 第二内科)
抄録 【はじめに】胆膵疾患の診断には従来複数の画像診断や組織診断の組み合わせを用いてきたが良悪性の鑑別に苦慮することを経験してきた。当院では2011年9月にPETセンターが開設され、胆膵疾患に対するFDG-PET/CT検査(PET)は日常臨床で使用する機会が増えている。今回われわれは当科でPETを施行した症例について検討した。【方法】2011年9月から2012年10月まで当科にてPETを施行した症例は137例、そのうち胆膵疾患の47例を検討した。確定診断は画像または病理学的に行った。FDGの集積はStandard Uptake Value(SUV)を用いて半定量的に評価し、主病巣および転移巣の集積を評価した。【結果】45例の内訳は膵癌16例、膵管内乳頭粘液腫瘍(IPMN)7例、胆管癌6例、胆嚢癌3例、黄色肉芽種性胆嚢炎2例、乳頭部癌1例、十二指腸癌2例、転移性膵腫瘍2例、その他6例であった。膵癌の内訳は膵頭部9癌、膵体部癌4例 膵尾部癌3例。SUV値は平均6.23(2.44-13.8)で、SUVmax2.5以上を陽性とした場合、15例(94%)が陽性であった。また後期相のSUVが上昇していたのは10例であった。【考察】Desmoplastic reactionが強く腫瘍細胞の密度が少ない硬性型の膵癌や血糖値が高い症例、また1cm未満の小膵癌では偽陰性となる場合があることが報告されており、今回の検討でPET陰性であった膵癌の1症例も慢性膵炎を背景としてDesmoplastic reactionが強く、細胞密度が低いため陰性となったと考えられた。またSUV値が特に高値であった3例のうち2例は腺扁平上皮癌と低分化型腺癌であり、3例ともに多発肝転移を認め悪性度が高くStage IVbであった。【結論】PET導入により、FDG-PET/CTの高空間分解能をいかした小膵癌の診断能などに大いに期待が寄せられているが、その臨床的意義はまだ検査数が少ないため不明瞭であり、さらなる検討が必要である。
索引用語 PET, 膵癌