セッション情報 一般演題

タイトル O-73:

異時性に胆道播種による再発をきたしたと考えられた肝細胞癌の2例

演者 宮下 祐介(仙台厚生病院 消化器内視鏡センター)
共同演者 石橋 潤一(仙台厚生病院 消化器内視鏡センター), 橋本 林太朗(仙台厚生病院 消化器内視鏡センター), 青木 隼人(仙台厚生病院 消化器内視鏡センター), 二瓶 公佑(仙台厚生病院 消化器内視鏡センター), 西条 勇哉(仙台厚生病院 消化器内視鏡センター), 中條 恵一郎(仙台厚生病院 消化器内視鏡センター), 奥薗 徹(仙台厚生病院 消化器内視鏡センター), 濱本 英剛(仙台厚生病院 消化器内視鏡センター), 水野 浩志(仙台厚生病院 消化器内視鏡センター), 高橋 佳之(仙台厚生病院 消化器内視鏡センター), 羽根田 晃(仙台厚生病院 消化器内視鏡センター), 佐藤 俊(仙台厚生病院 消化器内視鏡センター), 高林 広明(仙台厚生病院 消化器内視鏡センター), 三宅 直人(仙台厚生病院 消化器内視鏡センター), 三島 利之(仙台厚生病院 消化器内視鏡センター), 松田 知己(仙台厚生病院 消化器内視鏡センター), 中堀 昌人(仙台厚生病院 消化器内視鏡センター), 石山 秀一(仙台厚生病院 消化器外科), 遠藤 希之(仙台厚生病院 病理診断・臨床検査科), 長南 明道(仙台厚生病院 消化器内視鏡センター)
抄録 肝細胞癌の肝外転移は、肺やリンパ節、骨などに多いが、消化管への転移はまれである。今回肝細胞癌切除後、異時性に胆道播種による再発をきたしたと考えられた2例を経験したので報告する。【症例1】66歳、男性。H23年1月右胆管内に浸潤する肝右葉、6cm大の腫瘍に対し、尾状葉合併拡大肝右葉切除+肝外胆管切除再建術が施行された。病理診断は中分化型~低分化型肝細胞癌であった。H24年4月全身倦怠感が出現、血液検査でHb5.8g/dlと貧血を認めた。上部内視鏡検査で上十二指腸角付近に易出血性、30mm大の発赤隆起性病変を認め、同部からの生検では腺癌の診断であった。同年5月膵頭十二指腸切除術が施行された。摘出標本では総胆管内腔を充満して十二指腸側に突出する有茎性腫瘍を認め、初回の肝細胞癌と相同の組織像を認めた。免疫染色ではAFP、Hep-Par1陽性、CK7、CK19、CK20、CEA、CA19-9、hCG陰性であり、初回の病変も同様であった。腫瘍が総胆管に付着した部位では、浸潤傾向は少なく、線維筋層が保たれ、脈管浸襲も確認できなかったため初回手術の胆管内腫瘍栓が胆道内へ播種した病変と考えられた。【症例2】74歳、男性。 H23年8月肝右葉後区域を主体とする5cm大の腫瘍に対し、肝右葉切除術が施行された。病理診断は硬化型の中分化型肝細胞癌であった。H24年6月急性胆管炎のため入院。造影CTでは肝左葉に膿瘍、胆管拡張、下部胆管に壁肥厚を認めた。経乳頭的胆道ドレナージで胆管炎は改善、下部胆管壁肥厚部からの擦過細胞診がClassVの診断であった。外科治療を検討するも、認知症状の進行により入院生活が困難な状況であった。退院後、自宅にて洞性徐脈による意識消失発作を認め再入院となり、胆管炎の再燃を認めた。胆道チューブを交換、保存的に加療を行っていたが、感染を契機に敗血症となり全身状態の改善を認めず永眠された。剖検では、胆管内の腫瘍は有茎性で、肝実質の色調に近く、免疫染色ではCK7、Hep-Par1、GM-CSF陽性、vimentin、CK19陰性であり、初回の病変と同様であった。術後の残肝に病変は認めず、初回の胆道播種と考えられた。
索引用語 胆道, 腫瘍