セッション情報 一般演題

タイトル O-11:

クローン病発症後20年で肛門管癌を合併した1例

演者 小林 実(東北大学病院 胃腸外科)
共同演者 羽根田 祥(東北大学病院 胃腸外科), 松田 泰史(東北大学病院 胃腸外科), 戸嶋 政秀(東北大学病院 胃腸外科), 染谷 崇徳(東北大学病院 胃腸外科), 小村 俊博(東北大学病院 胃腸外科), 梶原 大輝(東北大学病院 胃腸外科), 神山 篤史(東北大学病院 胃腸外科), 佐々木 宏之(東北大学病院 胃腸外科), 工藤 克昌(東北大学病院 胃腸外科), 大沼 忍(東北大学病院 胃腸外科), 長尾 宗紀(東北大学病院 胃腸外科), 森川 孝則(東北大学病院 胃腸外科), 吉田 寛(東北大学病院 肝胆膵外科), 元井 冬彦(東北大学病院 肝胆膵外科), 小川 仁(東北大学病院 胃腸外科), 内藤 剛(東北大学病院 胃腸外科), 三浦 康(東北大学病院 胃腸外科), 片寄 友(東北大学病院 統合がん治療外科学), 柴田 近(東北大学病院 胃腸外科), 海野 倫明(東北大学病院 消化器外科学)
抄録 【症例】33歳女性【病歴】1990年に小腸大腸型のクローン病と診断された。肛門病変に対して複数回の切開排膿・シートンドレナージ術を施行したものの肛門病変に改善がみられないため、1995年にS状結腸人工肛門造設術を施行した。1998年に人工肛門周囲瘻孔膿瘍を認めたため、1999年に大腸亜全摘・小腸人工肛門造設術施行した。その後病勢は落ち着いていたが、2009年2月に人工肛門周囲瘻孔が出現したため、10月よりインフリキシマブ治療を開始した。12月頃より肛門部の腫脹、硬結を自覚するようになった。2010年5月に硬結部からの生検にてgroup5、adenocarcinoma(muc+sig)であり、肛門管癌の診断となった。膣浸潤も疑われたため、2010年7月後方骨盤内臓全摘術を施行した。病理組織診ではStageIIだったものの、切離断端陽性であったため、放射線照射(45Gy)後に化学療法(FOLFOX6)を施行した。2011年3月頃より腫瘍マーカー(CA19-9)の上昇と水腎症がみられるようになり、5月に癌性腹膜炎の診断となった。イレウス症状を認めたため化学療法は一旦中止していたが、ソマトスタチンアナログ製剤を投与して症状が落ち着いたところで6月より化学療法を再開したものの、全身状態が徐々に悪化し、同年9月に死亡した。【結語】クローン病は消化管癌、本邦では特に肛門管/痔瘻癌のリスクが高いとされているが、早期発見が困難であることもあり、進行癌で発見されることが多い近年、クローン病に合併した肛門管/痔瘻癌の報告例は増えており、早期発見が課題となっている。抗TNF抗体製剤の使用により悪性腫瘍のリスクが高まるとの報告もなされており、今後検討していくべき問題であると考えられる。
索引用語 クローン病, 肛門管癌