セッション情報 一般演題

タイトル O-68:

大腸穿孔を来たしたNK/T細胞リンパ腫の一例

演者 和田 佳子(公立置賜総合病院 内科)
共同演者 高野 潤(公立置賜総合病院 内科), 勝見 修一郎(公立置賜総合病院 内科), 堀内 素平(公立置賜総合病院 内科), 渡邉 祐介(公立置賜総合病院 内科), 須貝 彩子(公立置賜総合病院 内科), 小林 敏一(公立置賜総合病院 内科), 齋藤 裕之(公立置賜総合病院 内科), 赤松 学(公立置賜総合病院 内科), 安藤 嘉章(公立置賜総合病院 内科), 大村 清成(公立置賜総合病院 内科), 武田 忠(公立置賜総合病院 内科), 齋藤 孝治(公立置賜総合病院 内科), 新澤 陽英(公立置賜総合病院 内科)
抄録 【症例】72歳男性 【現病歴】平成24年3月より鼻閉感があり近医耳鼻咽喉科で上顎洞炎・鼻ポリープの診断で加療を受けていた。4月に腹痛が出現し近医内科を受診。上部内視鏡検査(GIS)にて十二指腸潰瘍を認めプロトンポンプインヒビター(PPI)を処方され、フォローのGISでは潰瘍治癒が確認された。その後も腹痛が持続しているため、腹痛精査目的に当院を紹介。耳鼻咽喉科の精査で咽頭部に潰瘍性病変を認め、生検の結果扁平上皮癌の診断。腹痛精査目的に内科に入院となった。腹部CTで両側腎周囲の脂肪濃度の上昇と肝S4にhypoenhanced massを認め、肝腫瘍生検を施行。LCA(+)、L26(-)、CD20(-)、CD3(+)、CD5(-)、CD4(-)、CD8(-)、CD56(+)の異型リンパ球様細胞を認め、H-E像と合わせてNK/T細胞リンパ腫nasal typeの診断となった。大腸内視鏡検査(CS)では下行結腸から横行結腸肝弯曲にかけて多発する潰瘍を認め、生検の結果、同様にNK/T細胞リンパ腫の診断、さらに咽頭生検も検索を追加しリンパ腫の診断となった。治療を開始する予定であったが、突然の強い腹痛と発熱を生じ、CTを再検したところ腹腔内にfree airが多量に見られ、大腸穿孔と診断。その後血圧が低下し全身状態不良となり、緊急手術も検討されたが、ショック状態であり疾患の予後も不良であることから御家族は手術を希望されず、永眠された。【考察】大腸の悪性リンパ腫はほとんどがB細胞性リンパ腫であり、NK/T細胞リンパ腫は非常にまれである。また、nasal typeは進行が早く予後が悪いとされており、さらに本症例のようにCD56陽性例は消化管穿孔率が高く、さらに予後不良との報告もある。【結語】今回我々は大腸NK/T細胞リンパ腫の一例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 NK/T細胞リンパ腫, 穿孔