セッション情報 一般演題

タイトル O-29:

急性膵炎を来たした重複腸管の一例

演者 間 浩正(太田西ノ内病院 消化器科)
共同演者 今泉 博道(太田西ノ内病院 消化器科), 草野 昌樹(太田西ノ内病院 消化器科), 橋本 健明(太田西ノ内病院 消化器科), 今村 秀道(太田西ノ内病院 消化器科), 鈴木 聡(太田西ノ内病院 消化器科), 迎 慎二(太田西ノ内病院 消化器科)
抄録 【症例】19歳女性
【現病歴】数日前からの心窩部痛を主訴に前医を受診。腹部造影CTにて十二指腸乳頭部に嚢胞性病変を指摘され当院紹介、精査加療目的に入院。
【既往歴】Hirschsprung病にて3歳時に手術歴あり。幼少期より両側多房性卵巣嚢腫を指摘されている。
【入院後経過】心窩部痛の原因として十二指腸乳頭部の嚢胞による圧排が原因と考えられ、EUSやMRCPにて精査の方針とした。第3病日より急激な劇痛を訴えたため採血を施行したところAMY;639 U/lと上昇を認め、腹部造影CTにて膵腫大および主膵管の拡張を認めた。嚢胞による圧排・閉塞が原因の急性膵炎と考えられ緊急ドレナージが必要と思われたが、当院ではEUS-FNAは業者から借りて施行している状況であり、緊急に施行できる環境ではない。他施設への転送および外科的治療も検討されたが、いずれも不可との回答であったため、やむを得ず胆嚢や十二指腸を介在するものの経皮的穿刺ドレナージを施行、内容液吸引にて急速に症状及びデータともに改善傾向となった。後日側視鏡にて十二指腸側より嚢胞を観察したところ乳頭部は不明であった。嚢胞上に穿刺穴を確認できたため、その部位より造影カテーテルを挿入、拡張した上でpig tail ENBDカテーテルを留置した。ENBD造影にて嚢胞内と胆管および膵管に交通を認めた。今後カテーテルを抜去した際、貯留に伴う症状の再出現が予想されたため、膵貯留嚢胞の疑いにて外科手術の方針とした。術中所見では切開を入れると嚢胞内は十二指腸様の粘膜であり、内部に嚢胞内に胆汁と膵液の排出を見る十二指腸乳頭の孔を認めた。病理組織所見でも嚢胞内は十二指腸粘膜であり、十二指腸重複腸管と確定診断された。嚢胞壁を開窓、十二指腸と吻合し手術は終了、術後経過は良好であった。
【考察】十二指腸重複腸管の手術例は過去にも小児例を含め20例程度報告があるが、腹痛症状を訴え、外科手術となっている症例が多い。本症を疑う場合、手術の必要性も考慮しつつ精査を進めていくべきと考えられた。
索引用語 重複腸管, 急性膵炎