セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | O-83:検診エコーを契機に発見された自己免疫性膵炎の一例 |
演者 | 小野里 祐介(山形県立中央病院 消化器内科) |
共同演者 | 佐藤 英之(山形県立中央病院 消化器内科), 白幡 名香雄(山形県立中央病院 消化器内科), 仁科 武人(山形県立中央病院 消化器内科), 原 倫代(山形県立中央病院 消化器内科), 川越 圭(山形県立中央病院 消化器内科), 藤嶋 昌一郎(山形県立中央病院 消化器内科), 鈴木 克典(山形県立中央病院 消化器内科), 武田 弘明(山形県立中央病院 消化器内科), 深瀬 和利(山形県立中央病院 消化器内科), 高橋 邦之(山形県立中央病院 消化器内科DELIMITER高橋胃腸科内科医院) |
抄録 | 【症例】60歳代 男性【主訴】自覚症状なし【既往歴】特記事項なし【家族歴】特記事項なし【生活歴】飲酒:1日ビール350mlを48年間、喫煙:1日20本を39年間【現病歴】検診の腹部超音波検査で胆嚢壁肥厚を指摘され、当科を受診した。腹部超音波検査では胆嚢内腔に結石などは認めなかったが、胆嚢壁は3層構造で全周性に肥厚していた。膵頭部は径41 mm、膵体部は径18 mmと腫大しており、主膵管は拡張なく、膵実質のエコーレベルは全体的に低下していた。腹部CTでは膵臓がびまん性に腫大し、主膵管は同定できなかった。また膵周囲にcapsule‐like rimを認め、自己免疫性膵炎が疑われた。下部胆管は狭小化し、硬化性胆管炎も疑われた。腹部MRIでは、主膵管は狭細化し、下部胆管も一部狭小化していた。血清IgG 1389 mg / dl、IgG4 416 mg / dl と著明に上昇していた。以上より自己免疫性膵炎を疑い、精査のため当科入院となった。【経過】ERCPを施行したところ、膵頭部から膵体部の膵管の狭細像を認め、下部胆管の内腔狭小化を認めた。同時に十二指腸乳頭部生検を施行したが、病理の結果IgG4陽性形質細胞は認めなかった。膵臓の腫大と膵管狭細像の画像所見、IgG4が高値であり、自己免疫性膵炎と診断した。治療としてプレドニゾロン( PSL ) 30 mg / dayから開始した。その後漸減していった。PSL 30 mg / day を2週間内服後の血清IgG は999 mg / dl、IgG4 は293 mg / dl であり、改善を認めた。治療開始4週後のCT・MRIでは、膵腫大は著明に改善しており、capsule-like rimも不明瞭化していた。また下部胆管の狭窄も軽減していた。PSL内服による副作用の出現は認めなかった。【考察】今回検診エコーを契機に発見された自己免疫膵炎の一例を経験したので報告する。胆嚢壁の肥厚は自己免疫性膵炎に合併することが多いとの報告がある。本症例の様に腹部超音波検査で胆嚢壁肥厚を認めた場合には、胆嚢を詳しく観察するとともに自己免疫性膵炎の可能性も考慮する必要があると考えられた。 |
索引用語 | 自己免疫性膵炎, 検診 |