セッション情報 一般演題

タイトル O-99:

減黄に難渋した粘液産生胆管腫瘍の1例

演者 今泉 博道(太田西ノ内病院 消化器科)
共同演者 今村 秀道(太田西ノ内病院 消化器科), 鈴木 聡(太田西ノ内病院 消化器科), 橋本 健明(太田西ノ内病院 消化器科), 草野 昌樹(太田西ノ内病院 消化器科), 間 浩正(太田西ノ内病院 消化器科), 野口 典男(太田西ノ内病院 外科), 小田島 肇(太田西ノ内病院 病理部)
抄録 【症例】80歳代、女性【既往歴】高血圧、高脂血症【現病歴】平成21年1月より、発熱が持続するために近医で受診した。腹部超音波検査にて肝内胆管の拡張が認められたために当科で受診した。造影CT検査では、肝内胆管、総胆管の拡張と肝S6に径50mm大の嚢胞性腫瘤が認められたが、加療を希望せず、以後、受診しなかった。平成22年10月より、持続する発熱と腹痛が出現したため、当科で再度受診した。採血にて肝胆道系酵素の上昇が認められ、造影CTでは、肝内胆管、総胆管がさらに拡張し、肝S6の腫瘤は増大していた。内視鏡的逆行性膵胆管造影検査(ERCP)が施行されたが、胆管内には粘液が充満しており、胆管造影は不良であった。病理結果より粘液産生胆管腫瘍が疑われた。外科治療を考慮されたが、高齢であるため、近医で経過観察となった。平成24年6月より発熱と黄疸が出現し、当院へ救急搬送された。採血にて炎症反応が高値であり、ビリルビン、肝胆道系酵素の上昇が認められた。粘液産生胆管腫瘍が産生する粘稠度の高い粘液による閉塞性化膿性胆管炎、閉塞性黄疸と診断し、当科で入院となった。【入院後経過】絶食、抗生剤投与で保存的に加療されたが、改善が認められず、ERCPが施行された。乳頭括約筋切開術を施行後、胆管内に充満する粘液の排出が行われたが、粘調度が強く、十分に排出されなかった。7Fr.経鼻胆管ドレナージチューブが留置されたが、用手的な洗浄を行っても排液が認められず、T-bil値は 22 mg/dlまで増悪した。外科手術が考慮されたが、全身状態不良で困難とされたため、同年7月、超音波観察後、経皮的に嚢胞性腫瘤を24Frトロッカーカテーテルで穿刺し、胆道ドレナージを行った。カテーテルからの排液は良好であり、減黄が進み、経口摂取が可能となり、全身状態は改善した。経皮的胆道鏡で精査後、同年9月に肝右葉切除、胆道再建術が施行され、同年11月に退院となった。【結語】減黄に難渋し、経皮的に嚢胞性腫瘤をトロッカーカテーテルで穿刺することにより減黄が得られ、外科手術が可能となった粘液産生胆管腫瘍の1例を経験したので、文献的考察を交えて報告する。
索引用語 粘液産生胆管腫瘍, 胆道ドレナージ